【6月21日 東方新報】中国の国家衛生健康委員会は今月5日、「2019年中国衛生健康事業発展統計公報」を発表。公報によれば、中国人の平均寿命は2018年の77.0歳から77.3歳に上昇した。

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 1990年の平均寿命が67歳以下であったが、いまや米国の平均寿命78.7歳との差も2歳弱に縮まっている。 公報によれば、妊産婦の死亡率は18.3人/10万人から17.8人/10万人に、乳幼児死亡率は6.1‰から5.6‰に、それぞれ減少した。

 この背景には、中国の医療衛生資源の増加がある。

 中国の病院数は、前年比で1345院増加し、基礎医療衛生機構も1万751所増加した。全国の医療総ベッド数は880万7000床。病院のうち公立病院は72.5%、民営病院は27.5%。人口1000人当たりの医療衛生機構のベッド数は、2018年の6.03床から2019年には6.30床になった。また衛生従事者数は2019年、1292.8万人で前年比62.8万人(5.1%)増となった。人口1000人当たりの職業医師数(助手を含む)は2.77人、登録看護師数は3.18人。人口1万人当たりの専門医は2.61人、公共衛生機構従事者数は6.41人となった。

 全国衛生総費用は、2019年は6兆5195億9000万元(約98兆6688億円)と推計され、うち政府衛生支出は1兆7428億5000万元(約26兆3766億円)で26.7%を占める。社会衛生支出は2兆9278億元(約44兆3099億円)で44.9%、個人の衛生支出は1兆8489億5000万元(約27兆9824億円)で、28.4%を占める。一人当たり平均の衛生総費用は4656.7元(約7万円)だった。衛生総費用がGDPに占める比率は6.6%。初期推計によれば2019年の衛生総費用中、個人衛生支出が占める割合は前年より0.25ポイント下がり、衛生総費用がGDPに占める割合は2018年より0.15ポイント増加した。2019年の国家基本公共衛生サービス項目において、一人当たり平均の基本公共衛生サービス財政補助基準は2018年の55元(約832円)から69元(約1044円)にアップした。

 住民の医療サービス利用も増加しており、2019年の全国医療衛生機構総診療人数はのべ87.2億人で前年比4.1億人(4.9%)増。住民の医療衛生機構平均受診率は6.2回で、2018年より0.2回増えた。前年と比較して、医療診療人数はのべ22.6億人増加。基礎医療衛生機構の受診人数はのべ1.2億人だった。2019年、全国医療衛生機構への入院人数は2億6596万人で、前年で1143万人(4.5%)増、一年間の入院率は19.0%。公立病院入院人数は1億7487万人で、全体の82.6%。民営病院入院人数は3696人(17.4%)。

 2019年の全国の病院病床使用率は83.6%で、うち公立病院が91.2%。全体の病院病床使用率は前年比で0.6%減だが、公立病院では0.1ポイント上昇した。2019年の病院退院者の平均入院日数は9.1日で前年より若干減っている。2019年の病院医師の一日当たりの平均診療負担数は7.1人だった。

 公立病院の医療費用の増加スピードは比較的安定しており、連続4年、4%以内に抑えている。2019年の公立病院の平均外来診療費用、一人当たり平均入院費用はそれぞれ、2.7%、2.1%増で、昨年よりもそれぞれ1ポイント、0.1ポイント下がっている。病院全体でいえばそれぞれ0.4ポイント、0.9ポイント上昇しており、公立病院の費用が安価になってきていることが分かる。

 農村の衛生室、社区(居住区)衛生サービス人員総数は増加しており、農村医療機構サービス能力は少しずつ引き上げられている。2019年の農村衛生院・社区衛生サービスセンターの外来診療サービスはのべ20.3億人に提供され、前年比1.1億人(5.7%)増。全国総診療の平均増加率(4.1%)より高く、全国の外来診療総量の23.3%を占めた。

 2019年の農村人口1000人当たりのベッド数は1.48床で2018年の1.43床より若干増加。農村人口1000人当たりの農村衛生院従事者数は1.56人(前年1.49人)。2019年、全国で53万3000の行政村において、61万6000か所の衛生室が設置され、従事者数は144.6万人に達した。前年と比較すると農村衛生室は6000か所減少した。また、全国にはすでに社区衛生サービスセンターが3万5013か所あり、社区衛生サービスセンター従事者数は前年比2.7万人(4.7%)増加した。

 ブルームバーグ(Bloomberg News)調べの2019年の健康国家指数ランキング169か国によれば、トップ3はスペイン、イタリア、アイスランド、続いて4位が日本。米国は35位で中国は55位。

 順位でいえば、米国と中国の間には20位の大差がついているが、米国の保健医療支出がGDPに占める割合は2018年で18%。一方、中国は6.6%(2019年)で、1人当たり医療費で比べれば米国の10分の1にも及ばない。だが平均寿命の差は2歳もなく、中国としては、自国の医療行政に自信を深めているようだ。(c)東方新報/AFPBB News