【6月9日 CNS】中国・浙江省(Zhejiang)温州市(Wenzhou)で先月28日、故人の遺骨を海に散骨した遺族のための祈念公園「義園」が完成した。墓参りの代わりに亡き家族をしのぶ場として提供する。

 高齢化社会に突入した中国では墓の造設が土地不足の一因となっており、行政が散骨や樹木葬などの自然葬を奨励している。

 温州市鹿城区(Lucheng)民政局の陳飛義(Chen Feiyi)副局長は「義園は将来にわたって故人をしのぶための公園であり、散骨を通じて自然に帰る人々をたたえる場でもある」と語った。

 鹿城区では近年、自然葬への関心が高まっており、2015年には「自分たちが旅立つ際は墓を作らず、海への散骨を選ぶ」と民政局に申請する人たちが現れた。墓を購入しない分、残る費用で施設を建て、遺族が故人を追悼する場所にすることも提案。民政局はすぐこの意見を受け入れた。

 鹿城区自然回帰促進会の蔡文箎(Cai Wenchi)会長は「環境保護の理念を持った道義の人々をたたえるため、公園を義園と命名した」と説明した。

 中国で自然葬は年々受け入れられている。温州市ではこれまでに海への散骨が85件あり、樹木葬も57件あった。鹿城区では自然葬を広めるため、海への散骨を選ぶ家族に8000元(約12万2068円)、樹木葬に5000元(約7万6293円)の奨励金を渡している。(c)CNS/JCM/AFPBB News