【5月29日 AFP】ソーシャル・ディスタンシング(対人距離の確保)を守らない者にはコーラン(イスラム教の聖典)を復唱させ、「幽霊屋敷」に住まわせ、ソーシャルメディアで辱めを受けさせる──。新型コロナウイルスの感染拡大が続くインドネシアでは、地方当局が規則に違反した者を辱めたり、つるし上げたりするなど、独自の対策を導入し始めた。

 インドネシア当局は感染拡大防止策を徹底させるため、兵士およそ34万人を国内約20都市に配置している。

 しかし、州のトップらはこれに独自の施策を追加し、ウイルス対策を強化している。

 西部ブンクル(Bengkulu)州では外出制限などに違反した者を取り締まるため、警察が40人から成る部隊を編成。違反者は罰として、今後はマスクを着け、他者とは距離を取るとの誓約が書かれた紙を首にぶら下げなければならない。ある当局者によると、辱めの効果を最大限発揮するため、違反者らの写真はソーシャルメディアに投稿されるという。

 インドネシアで唯一イスラム法(シャリア)が導入されている北西部のアチェ(Aceh)州では、公衆衛生上の規則に違反した者はコーランの文章を読み上げ、罪をあがなうことを強いられる。

 首都ジャカルタでも今月、新たな規則が発表され、ソーシャル・ディスタンシングを守らない市民は違反者であることを示すベストを着用し、トイレを含む公共施設の清掃をしなければならなくなった。

 また東部スラゲン(Sragen)県では、地元住民に幽霊が出ると信じられている廃虚を改装し、規則違反者を収容している。インドネシアの民間伝承で大きな役割を果たし、広く信じられている超自然的現象を利用した格好だ。

 インドネシアではこれまでに約2万4000人の感染が確認され、1496人が死亡している。2億6000万人以上の人口を抱える同国だが、検査率は世界で最低レベルにある。専門家らは実際の死者数について、公式発表の数倍に上るものとみている。(c)AFP