【5月26日 東方新報】中国・広州汽車集団(Guangzhou Automobile Group)と日本のトヨタ自動車(Toyota)の合弁企業、広汽豊田の4月実質車両販売台数は6万3607台となり、前年同期比47%増、前月比29%増となった。1〜4月の累計販売台数は18万6207台で、新型コロナウイルス感染症の猛威にもかかわらず、中国市場では絶好調だ。

 QDR(品質、耐久性、信頼性)のトヨタの理念と、TNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)と称される車両製造システムの底力発揮というところか。TNGA採用車の4月の車両売上合計は4万4153台で、全体の売り上げの69%を占め、前年同期比38%増、前月比38%増となった。レビンシリーズ4月の売り上げは2万台以上、前年同期比34%増、前月比増45%増。ヤリスシリーズは1万台以上、前年同期比324%増、前月比14%増。ハイブリッド車も強く、4月の売り上げは前年同期比135%増、前月比26%増だった。


 さらにTNGA採用車の中型SUVであるRAV4、通称ワイルドランダーが先月25日から発売開始、4月だけで4289台が売れ、これがGACトヨタを一層勢いづかせている。ワイルドランダーは中国専売の新しいオフロード車で、その中でもハイエンドモデルの予約が96%を占めている。

 中国市場で安定した人気があるカムリは、4月だけで1万5459台を売り、前年同期比10%、前月比4%だった。中国市場に登場して以来、20万元(約302万円)以上のハイエンドモデルの売り上げが58%を占め、2.5リッターハイブリッドモデルは累計売り上げの56%を占めている。

 レビンも全面モデルチェンジのハイグレード版が売り上げの89%を占めた。レビンはTNGA採用発のミドルクラス車だが、新型レビンはスマート化、乗り心地、安全の面で、ミドル車の価値観を刷新している。

 ハイブリッド車シリーズとしては、ワイルドランダー、カムリ、レビンが出ており4月の売り上げは7378台となった。もともとトヨタのハイブリッド技術は成熟しており、中国国内でハイブリッド車市場を10年にわたって開拓してきた。すでに累計販売量は26万台にのぼる。TNGAによって広汽豊田のハイブリッドエンジンはさらにグレードアップしており、レビンのハイブリッドモデルは4月だけで4474台、前年同期比384%となった。またトヨタ初の量産EV車SUV、C-HR EVが4月22日に売り出されたが、こちらも注目をあつめている。

 読売新聞(Yomiuri Shimbun)によれば、トヨタ自動車は2019年の中国における新車販売量は前年比9%増で162万700台、連続7年右肩上がり、初めて日本国内の販売量を超えたという。トヨタ車の販売台数が一番多い国は依然米国だが、第2位の市場が中国となった。新型コロナウイルス感染症の猛威が中国全土を覆った3月初旬の段階で、トヨタは天津市(Tianjin)に1300億円を投じて新工場建設を決め、業界を驚かせたが、その強気も勝算あってのことだろうか。

 中国でトヨタ車がなぜ、これほど人気なのか。ネット上に散見するユーザーの声を拾うと、丈夫で故障率が低く、エンジン、トランスミッションの性能、信頼性が高い、ということにつきる。また中国車市場の販売価格もいい。また、トヨタは宣伝戦略も力をいれており、新しいファンの取り込みに貪欲だ。5月8日、中国第一汽車集団(FAW Group)とトヨタが両社の中国合弁会社である天津一汽トヨタ自動車はEコマース大手の淘宝(タオバオ、Taobao)と組んで、TNGA採用の人気車種の擬人化アニメキャラを使ったクラウド・モーターショーを開催。これはトヨタが消費者ターゲットとして1990年代生まれ以降の若者世代を視野にいれているというメッセージでもある。

 中国で外資系大衆車といえば文字通りドイツのフォルクスワーゲンのイメージが続いているが、トヨタとワーゲンの地位が逆転し、中国のトヨタ車時代に突入するのも時間の問題かもしれない。(c)東方新報/AFPBB News