【5月20日 CNS】中国・陝西省(Shaanxi)西安市(Xi’an)の公安局で18日午後、特別な顔合わせが行われた。警察関係者の努力の下、32年ぶりに、2歳8か月の時に人さらいによって連れていかれた毛寅(Mao Yin)さんが奇跡のように捜し当てられ、ついに両親と再会を果たしたのだ。

 公安部がIT大手の阿里巴巴(アリババ、Alibaba)と共同で開発してきた人捜しシステム「団らん」は、2016年5月15日に稼働を開始して以来、4467人の失踪児童の情報を発信し、4385人を捜し当ててきた。成功率は98.2%に達し、ネットユーザーからは「誘拐犯を逮捕する神器」と言われている。

 毛寅さんは1988年10月17日、彼は西安市の西大街のあるレストランの玄関口から突然いなくなった。母親は「午後6時ぐらいに息子を連れ、レストランの前を通りかかったら、息子が水を飲みたいと言ったので買いに行った。2分か3分後に戻ったら息子はもういなくなっていた。頭は真っ白になった」と当時を振り返る。

 母親はその後、長い子ども捜しの道を歩む。尋ね人のポスターを数十万枚作り、全国で捜した。警察も広く目撃者を捜した。安徽省(Anhui)や山東省(Shandong)、山西省(Shanxi)などまで出張し手掛かりを探ったが、進展はなかった。

 2016年5月15日、公安部はアリババと提携し、全国で唯一のインターネットを利用した誘拐対策専門の公安部児童失踪情報緊急配信プラットフォーム『団らん』システムを立ち上げた。国民に対してワン・キーで簡単に失踪児童の情報を発信できるものだ。

 今年の4月末、西安警察は一人の四川出身者が数十年前に6000元(約9万円)で西安から子どもを買ったという手掛かりをつかみ、対象者を絞り込んだ結果、四川省(Sichuan)綿陽市(Mianyang)のある男性が毛寅さんの状況に極めて近しいことが分かる。

 捜査チームはそこで四川に捜査員を派遣し、四川警察の協力の下、DNA鑑定を行った結果、その男性がまさに32年前に失踪した毛寅さん本人であることを確認した。

 32年の時を経て、毛寅さんはついに自身の家に戻り、両親と一家団らんできた。息子捜しの32年の間、母親は誘拐犯摘発のボランティアとなり、収集した失踪児童の情報を適時、公安機関に提供し、摘発を助けてきた。西安市公安局は、彼女が提供した手掛かりによって、失踪して久しい4人の児童を捜し当てている。

 公安部刑事捜査局の龔志勇(Gong Zhiyong)副局長によると、全国の公安機関は、誘拐犯罪に対する「ゼロ容認」を堅持し、技術的手段の革新と厳しい取り締まりなど総合的手段により、児童誘拐犯罪は毎年20件足らずまで減ったとしている。(c)CNS/JCM/AFPBB News