【5月20日 Xinhua News】中国南宋時代(12~13世紀)の沈没船「南海1号」の発掘作業が最終段階に入った。遺物の調査は船体内部から船体外部に移っており、来年の発掘完了を見込む。同船の発掘チームが明らかにした。

【動画】南宋沈没船「南海1号」の発掘現場を探訪 中国・広東省

 同船の発掘プロジェクトは、今月発表された2019年中国考古学十大発見にも選ばれている。

 発掘プロジェクトのリーダーを務める広東省(Guangdong)文物考古研究所の崔勇(Cui Yong)副所長によると、同船は船を周囲の泥土ごと海底から引き揚げという過去にない方法を取ったため、船体の発掘過程でも今回の引き揚げの成否が検証されたという。船内整理が昨年終わったことで露出した船底は、引き揚げ作業による損傷もなく、同方法が計画から実施まで成功を収めたことが明らかになった。

 発掘現場では「南海1号」の船体が多数の支柱で固定され、船倉や隔壁などの内部構造もはっきり見ることができる。発掘チームのメンバーや作業スタッフは船体の泥土の除去と出土品の整理を行っていた。

 同プロジェクト保護チームのリーダーを務める中国文化遺産研究院文物保護修復所の李乃勝(Li Naisheng)副所長は、800年余りにわたり海水の浸食を受けたのに加え、鉄器の凝結物の腐食による汚染も深刻で、船体構造がもろくなっていたと説明。「船体はすべての出土品のなかで最も価値があるが保護の難度も高い。病状の重い老人と同じで守るには大きな挑戦が伴う。ただ、やる価値はある」と述べた。船体外側の発掘作業が終われば、船体洗浄や脱塩脱硫、充填(じゅうてん)強化、修復など長期的な保護を実施していくという。

「南海1号」が発見されたのは1987年。2007年にケーソン(浮き箱)を用いて全体を引き揚げ、現在は同省陽江市海陵島の広東海のシルクロード博物館に置かれている。2013年に系統的な調査が始まり、2019年に船倉内の遺物の発掘が完了し、金、銀、銅、鉛、スズなどの各種金属器や竹・木製漆器、ガラス器、人骨、鉱石標本、動植物の残骸など18万点を超える遺物が見つかった。中でも鉄器と磁器の数が最も多い。(c)Xinhua News/AFPBB News