【5月4日 AFP】(写真追加)フランスでは、新型コロナウイルスの抑止策であるロックダウン(都市封鎖)によって街角から人けが消え、女性が外出すると、性的暴行やセクシュアルハラスメント(性的嫌がらせ)の標的にされやすくなっている。しかも、当局がロックダウンの緩和を目指す中、そうした脅威はさらに高まる可能性がある。

 被害者が助けを呼べる可能性がないことを知っていて白昼堂々、女性を襲う加害者が増えているとフェミニスト団体は報告している。

 人権活動家のファティマ・ベノマル(Fatima Benomar)さん(36)は、車や通行人の姿が消えてしまったパリ中心部のリボリ通り(Rue de Rivoli)で数人の若者に追い回されたと語った。「彼らの冷やかしを無視していたら、近づいて来て私を侮辱し、脅迫し始めた」「信じられないほど怖かった」とベノマルさんはAFPに語った。「逃げ道がなかった。店はどこも閉まっていて、助けを求める相手もいなくて」

 3月17日にロックダウンが実施されるまでは、パリ近郊の通勤路で不安を感じることはなかったと、看護師のロレーヌ・マルタン(Laurene Martin)さん(28)は言う。だが、「ロックダウン2日目に、地下鉄で数人の男に襲われて携帯電話を盗まれた。私が叫ぶと彼らは逃げ出したけれど、今度は車内にいた唯一の乗客だった男性が真横にやって来て、私に結婚しているかどうか尋ねてきた」

 マルタンさんは、「(治安は)以前よりも確実に悪くなっている」と言う。「標的にする相手も減っているが、目撃者も減っている」

 警察は被害者や目撃者にどんな出来事でも通報するよう呼び掛けているが、ロックダウン中の暴行に関する公式の通報件数は明らかにしていない。

 一方、検察当局は先週、パリのすぐ北に位置するセーヌサンドニ(Seine-Saint-Denis)で24時間のうちに2人の女性が公共の場でレイプに遭うという以前ならあまり考えられない事件を発表した。1人は公園、もう1人は路上での被害だった。