【5月3日 AFP】フィリピンの過密状態の拘置所で新型コロナウイルスの感染が確認されたことを受けて、最高裁判所は2日、感染抑止策として入所者1万人近くが釈放されたと発表した。

 マービック・マリオ・ビクター・F・レオネン(Marvic Mario Victor F. Leonen)最高裁判事は報道陣に対し、保釈金を払うことができずに拘置所内で裁判を待っていた者を釈放するよう下級裁判所に命じたと説明。「最高裁は拘置所の過密状況について十分承知している」と述べ、これまでに9731人が釈放されたと発表した。

 国内でも密集度の高い拘置所の一部からは、入所者と職員双方での新型コロナウイルスの感染拡大が報告されている。

 不十分なインフラ設備や、動きが鈍くパンク状態にある司法制度により、拘置所の収容人数は定員の5倍になることもある。こうした拘置所の体制では、ソーシャル・ディスタンシング(対人距離の確保)はほぼ不可能だ。

 首都マニラにあるケソン市拘置所(Quezon City Jail)も所内での感染が報告された拘置所の一つで、入所者が交代で階段や屋外のバスケットボール場で寝るほどの過密状態に陥っている。

 これまでに感染が最も拡大しているのは、中部セブ(Cebu)島にある2か所の拘置所。合わせて8000人超が収容されているこの2か所では、1日時点で計348人が感染したという。(c)AFP