【5月5日 東方新報】中国の北京市と恵州市(Huizhou)と米国のダラス市(Dallas)の間で4月22日、インターネットで各地をつないだオンラインによる起工式が同時に行われ、総投資額100億ドル(約1兆700億円)のエクソンモービル(ExxonMobil)恵州エチレンプロジェクトが正式に始まった。新型コロナウイルス感染症が世界で広がる中でも、中国では、米系企業の投資拡大に陰りがないことがうかがえる。

 現在、世界は新型ウイルスとの闘いという特殊な時期にあり、原油価格は需給バランスが崩れて下降している。米国企業が中国で100%出資(独資)により建設する初の重大プロジェクトとして、その始動時期が注目に値する。

 このプロジェクトは準備開始から正式工事開始まで、わずか18か月しかかかっていない。エクソンモービルの一期工事は、年産160万トンのエチレン製造装置などを含み、生産される多種化工製品は工業や個人消費品などの領域で広く用いられ、そのうち、相当部分が直接中国市場に供給される予定だ。一期工事竣工(しゅんこう)後、エクソンモービルに390億元(約5900億円)の売り上げをもたらすと予測されている。

 武漢市(Wuhan)が封鎖措置を解除した4月8日、もう一つの米国企業、ウォルマート(Walmart)が武漢市で30億元(約460億円)の拡大投資を発表した。在中国米国商工会議所、在上海米国商工会議所とプライスウォーターハウスクーパース中国(PwC)は17日、共同調査報告書を発表、調査を受けた在中国の米国企業の70%以上が感染症の影響のために生産、供給あるいは調達業務を海外に移すことはしないと回答したとしている。

 新型ウイルスの感染が発生した後、米中間の産業チェーン切断の声が高まった。政府が金を出して米国企業に中国から撤退させるとの極端な提案も出ている。それなのに、100億ドルの米系のプロジェクトが中国で始動したことは、米国企業が中国を離れることは決して容易ではないことを物語っている。

 中国の良好なインフラと産業補完、開放的なビジネス環境は、米国企業にとって相当大きな魅力なのだ。エクソンモービルのダレン・ウッズ(Darren Woods)最高経営責任者(CEO)が起工式で述べたように、インフラの他、今年の1月1日より正式に発効した「外商投資法」も中国経済の競争力を一層引き上げ「これらすべてが一つの環境をつくり上げ、エクソンモービルの(中国での)戦略的長期投資を継続させるよう後押ししている」。

 中国には、数十年にわたって積み上げてきた広く網羅した工業体系と良好なインフラと豊富な労働力資源などの優位性があり、それらは突発的に発生した感染症の短期的な影響では簡単に変わることはないのだ。(c)東方新報/AFPBB News