【5月3日 CNS】中国・四川省(Sichuan)眉山市(Meishan)彭山区(Pengshan)江口鎮(Jiangkou)にある「彭山江口明末古戦場遺跡」の第三期発掘成果発表会が、先月29日に開催された。3か月余りの発掘期間で、2000点の重要文化財を含む1万点以上の文物が発見されたという。

 最も重要な発見は、重さ8キログラムで金含有量95%の金印「蜀世子宝(蜀王の太子の宝)」だ。王の世継ぎである太子が使う金印が発見されたのは中国で初めてとなる。

 発掘プロジェクトの責任者・四川省文物考古研究院科技考古センターの劉志岩(Liu Zhiyan)主任によると、金印は1辺10センチメートル、厚さ3センチメートルの方形の印台と、ひもを通す穴が開いた亀形の飾り持ち手があり、印面には「蜀世子宝」の4文字が鋳込まれている。

 印台の「蜀」の字から、金印がもとは明朝時代の蜀(しょく、四川省地域を指す旧名)の王宮にあって、蜀王の世継ぎの身分を象徴、太子が歴代受け継いでいたものということが分かる。

 今期の発掘は1月10日に開始され、4月28日に終了、発掘面積5000平方メートル、地中探査面積1万平方メートルにおよんだ。発掘された文物は主に金銀の器、金銀の貨幣、金銀の装飾品など。

 現在の四川省の楽至(Lezhi)、仁寿(Renshou)、楽山(leshan)などの県や市のある地域から集められた銀錠(当時の通貨の一種)も発見され、当時の「大西政権」(明末の農民一揆軍が樹立した地方政権)の財政制度や統治区域を研究する重要な材料となっている。

 前回の発掘では銃が発見され、今回は各種の鉛弾が出土し、遺跡が古戦場であることがさらに明らかになった。また、金銀の容器や装飾品は、明代の工芸水準、服飾制度、審美基準などの研究にとって貴重な新材料を提供するものとなった。

 同遺跡の第1期発掘は2017年4月、発掘面積2万平方メートル、3万点余りの文物が出土した。大西王となった農民軍の首領・張献忠(Zhang Xianzhong)の軍船が岷江(Min River)を南下する際、明軍の攻撃を受け沈没、財宝が川底に沈んだという「江口沈銀」の伝説が実証された。

 続く第2期発掘は18年1月、発掘面積1万平方メートル、出土品1万2000点余り、今回の第3期と合わせ、発掘された文物は5万2000点以上、張献忠が使ったとされる「虎紐永昌大元帥金印」「西王賞功金貨」、今回発掘の「蜀世子宝」金印など貴重な文化財が含まれている。

 発掘された文物は、修復作業の後、収蔵・保管される。また、総投資額約5億元(約76億円)の「『江口沈銀』博物館」も今年の年末に建設開始予定だ。(c)CNS/JCM/AFPBB News