【5月2日 CNS】雨は降らなかったのに、この村は水害に苦しめられることになった──中国・広西チワン族自治区(Guangxi Zhuang Autonomous Region)天等県(Tiandeng)の選解村(Xuanjie)で近ごろ、突然大量の地下水が湧出し、深さ7メートル、面積約4ヘクタール、畜水量2.4万トンの湖となり、22戸90人の村民の生活に影響を与えている。

 湧水の現場では、大きな木も一番上の部分だけが水面の上に出ている状態だ。家屋、道路、電信柱などのほか、バスケットボールのコートでもポストの半分が水に漬かった。一部の民家は水が2メートルの高さまで押し寄せ、家の2階の窓からはしごを使って出入りしている。

 村幹部によると、3月26日午前7時過ぎ、村の入り口にある泉の脇の排水溝から水が湧き出ているのを村民が発見。1時間後には、普段は道路だったところが、水深1メートルほどの水たまりとなり、通行不能となった。村民からの状況報告を受けて村の幹部らが集まり、まずポンプでたまった水を排出しようとしたが、湧出量は排出量をはるかに上回り、湧き出る水をただ眺めるしかなかったという。

 2日目になると、村の一部の家屋に水が入り始めた。すでに耕作地約3ヘクタールは水没していた。幹部によると「初めの2日間の増水が特に速かった。その後は、毎日10センチくらいの速さで増え続けた」という。「以前、この村で家屋が浸水したことはあったが、それは大雨が降った後だった。今回は雨はまったく降っておらず、こんなことは初めてだ」と驚きを隠せない。

 被害調査のため現地を訪れた専門家によると、この地域は大部分がカルスト地形で、地質構造は極めて複雑だ。地下水の湧出は、地下水の流れがせき止められたことによるかもしれないという。(c)CNS/JCM/AFPBB News