【4月30日 AFP】肺疾患の救命救急診療を専門とするアニシュ・サミュエル(Anish Samuel)医師は夜、帰宅すると何度も服を着替え、家族とは別々に夕食をとる。新型コロナウイルスの感染リスクを減らすためだ。

 米ニュージャージー州にあるセントジョセフ大学医療センター(St. Joseph's University Medical Center)に勤務するサミュエル氏の毎日は、守りきれないものになりつつあった。しかもリスクが付きまとっていた。

 サミュエル氏は今、自宅の前に止めたキャンピングカーの中で寝泊まりしている。妻のジェシカさんが出産した数日後から、そうすることにした。ジェシカさんはぜんそくを患っている。

「家族と離れて過ごすこともつらい。でも、ここからみんなを見ることはできる」。サミュエル氏がキャンピングカーで暮らせるようになったのは、医療従事者にキャンピングカーを提供しているボランティアグループ「RVs 4 MDs」のおかげだ。この組織では、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が自分の家族に広まることを恐れる医療従事者と、貸し出せるキャンピングカーを所有する人をつないでいる。

 雇用主からは、職場から車で25分ほどのところにあるホテルでの宿泊を提案されたが、キャンピングカーの方がいいとサミュエル氏はいう。いざという時にも家族のそばに居られるし、生まれたばかりの子どもの顔も見ることができる。「窓を隔ててでも、裏庭からでもいいから、家族の顔を見たいんだ」