【4月20日 AFP】新型コロナウイルスの感染拡大によって、各地でテニスコートが閉鎖し、接触が禁止になったことを受けて、テニス選手も他のアスリートと同様、創意工夫をしながら練習に取り組んでいる。その中で、イタリアの少女二人がさらなる高みへ工夫のレベルを押し上げている。二人が目を付けたのは「屋上」だ。

 イタリア北部の小さな町フィナーレリグレ(Finale Ligure)では、閉鎖したテニスクラブのコーチ陣が所属する若手選手に対し、新しい練習方法を編み出してトレーニングの様子を撮影し、クラブに提出するという課題を出した。

 その結果が、クラブのフェイスブック(Facebook)ページに投稿されている。ラケットなしや柄の長いほうきで素振りをする選手に、通りや駐車場で壁打ちをする選手。中には自宅の寝室や居間で、テレビをかすめるようにしてラケットを振る選手もいた。

 こうした練習風景は珍しいものではなく、似たような動画が「#tennisathome(家でテニス)」のハッシュタグを付けてSNSに数多く投稿されている。ところがフェイスブックへ投稿された中に、とりわけ斬新で、男子プロツアーや各国のテニス選手、ファンの注目を集めたものがあった。

 その動画の中で、14歳のビットーリア・オリベリ(Vittoria Oliveri)さんと11歳のカローラ・ペッシーナ(Carola Pessina)さんの二人は、それぞれ通りを挟んだ自宅の屋上で向き合い、いつものクレーコートではなくコンクリートの上を、バックハンドだけでなくボイラーの排気管も回り込みながら、屋上の柵越しにショットを打ち合っている。

 コーチはAFPに対して「あれは二人のアイデアです。お互いをよく知っていて、近くに住む友人同士なんです」と話した。

「年齢が違うので、普段は同じグループで練習しませんし、カテゴリーも違います。ですが、どちらも大会上位を争える有力選手です」「11歳のカローラは、この地域では同年代のトップ2か3に入るでしょう」

 ストローク戦を武器に世界ランキング1位に立った元テニス選手のトレーシー・オースチン(Tracy Austin)氏は、ツイッター(Twitter)で動画付きのつぶやきをリツイートしながら、「新しいレベルの#tennisathome! これより上はないと思う。深いショットを心がけて」と書き込んだ。

 現在男子6位のステファノス・チチパス(Stefanos Tsitsipas、ギリシャ)も感心した様子で「すごくいいね」とつぶやいている。

 本人たちも注目が集まっていることを楽しんでいるらしく、コーチは「二人ともだんだん話題になっていくのを見て、ものすごく喜んでいますよ」と締めくくった。(c)AFP