【3月30日 東方新報】日本で新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、中国の企業や個人、自治体がマスクなどの物資を支援する動きが相次いでいる。中国で感染が拡大していた1~2月に、日本から多くの支援を受けた「恩返し」だ。

 上海の大手タクシー会社「大衆交通集団(Dazhong Transportation)」は、友好関係にある東京のタクシー会社「大和自動車交通(Daiwa Motor Transportation)」に大量のマスクを寄贈した。両者は昨年末、東京と上海で観光タクシー・空港送迎サービスの事前予約について業務提携をしたばかり。今年に入り、中国で感染が拡大すると、大和交通は1万枚のマスクを大衆交通に寄贈し、「一方有難 八方支援(ある所で困難があれば、全員で助ける)」とメッセージを添えた。これは2008年に四川大地震が起きた際、被災地を支援するため集まった医療従事者やボランティアらが掲げたスローガンだ。

 そして今月に入り、中国では感染のピークが過ぎ、逆に日本で感染者が増えると、今度は大衆交通が大和交通に支援の手を差し伸べた。物資の箱には大衆交通の社員が描いたポスターを貼り、宋代の詩人の一節「応知扶桑東 明朝浴晴日」を添えた。「扶桑」は古くからの日本の呼称で、「今は困難でも、日本に必ず朝日が昇る」というメッセージを込めている。

 中国のネット通販大手阿里巴巴集団(アリババ・グループ・ホールディング、Alibaba Group Holding)創業者の馬雲(ジャック・マー、Jack Ma)氏は今月に入り、100万枚のマスクを日本に寄贈すると表明。日中の医療交流に取り組む日本医療国際化機構を通じ、全国各地に配布している。2月上旬に日本から中国へ防護服が贈られた返礼としており、物資の箱に「青山一道 同担風雨」「青山も風雲も共に見る友よ、一緒に困難を乗り越えましょう」と中国語と日本語でエールが書かれている。