【3月22日 東方新報】新型コロナウイルス肺炎の影響で、東京五輪の予選にあたる各種競技の国際大会が中止や延期が相次いでいる。選手とコーチの健康や安全を確保しながら、いかに予選をクリアして五輪出場権を獲得していくのか、中国の各スポーツ協会・団体も状況の推移を注意深く見守りながら調整に入っている。

 中国の国家的スポーツ卓球の代表チームは2月初めにカタール・ドーハ(Doha)で合宿に入って以来、こうした国際大会の動向を見守ってきた。中国卓球協会(Chinese Table Tennis Association)は、欧州の一部の卓球協会や韓国、日本、タイ、マカオ(Macau)などの協会とともに連携して、総合的に考慮した結果、最終的にマカオを訓練キャンプの場所に選んだ。

 マカオ政府によれば、現地の新型コロナ肺炎は比較的うまくコントロールされており、3月11日まで36日連続で新たな感染者が出ていない。またこれまでに発生した感染者10人はすべて治癒退院している。マカオからならば、香港と深圳の試合に参加する場合、専用車による陸路交通が利用可能で、公共交通での感染リスクを避けることができる。もし、この2か所での試合が延期されれば、ほかの地域の国際卓球連盟による国際試合に参加することも可能。多くの国が渡航制限を受けている中、マカオは特殊な入国制限がなく、2週間の隔離措置も必要ない。入国制限措置対象の国から試合に参加すれば、選手は往復で2週間ずつおよそ1か月、練習すらできない状況に陥ってしまい、連続して国際試合に参加することが実質不可能になってしまう。仮に新型コロナウイルス肺炎の影響で、予定されている国際試合が中止になっても、マカオからであれば北京や国内の各都市への移動も便利だ。

 こうした卓球代表チームの希望を受け、マカオ政府もマカオ体育当局を通じてマカオスポーツ選手研修・集中訓練センターを準備し、トレーニング機材や宿舎などのロジスティクス面を保障、環境を整えているという。

 一方、レスリング代表チームは現在、セルビアで合宿中だ。2月19日に北京を出発し、セルビアで合宿したのち、3月27日にキルギスで行われる東京五輪アジア地区の選考会に出場する予定だった。もともとは3月27日の選考会は、西安市(Xi’an)で開催される予定だったが、新型コロナウイルス肺炎の影響で開催地がキルギスタンに変更された。そのキルギスでも新型コロナウイルス感染が発生し中止となった。代替地は未定のままとなり、中国レスリングチームはセルビアでの合宿を現地のレスリング協会からの支援もあって延長することになった。

 盛澤田(Sheng Zetian)コーチによれば、「チームの状態はいい、全力で戦いの準備をしている。セルビアの環境はよく、トレーニングマシンやサウナなのどの回復施設が国内よりも少ないのが唯一物足りないところだ」というが、懸念は選手の体重コントロールだ。

 レスリングの場合、選考試合の延期の時間が長いほど、適切な体重のコントロールがむつかしくなってくる。「もし体重コントロールを早くやりすぎると、試合前の練習の展開に不利。遅すぎると、選手のベストの状態にもっていけない」と盛澤田コーチは心配そうだ。目下、選考試合の日時場所の決定を、セルビア合宿を続けながら待ち、その日時場所によって、中国に戻るかどうかを決めたいという。

 体操の世界選手権も本来なら3月20〜22日にドイツのシュトゥットガルトで行われるはずだった。また3月18〜21日に行われる体操ワールドカップ・カタール・ドーハ大会も、新体操ワールドカップ・イタリア・ペーザロ大会も、トランポリンワールドカップ・イタリア・ブレシア大会も軒並み6月に延期となった。6月にワールドカップが終わってやっと五輪出場資格が決定するとなると、もし東京五輪が予定通りに行われるとすれば、選手たちの調整時間は非常に厳しいものになる。(c)東方新報/AFPBB News