【3月21日 AFP】米国オリンピック・パラリンピック委員会(USOPC)は20日、東京五輪の運命を決めるにはもっと時間が必要との認識を示したものの、同国の主要競技連盟は、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)をめぐり大会の延期を要求した。

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 USOPCのスザンヌ・ライオンズ(Susanne Lyons)会長は、報道陣との電話会見で、国際オリンピック委員会(IOC)は東京五輪に関して決定を急ぐ必要はないと強調し、「きょう決断を下すよりも、もっと専門家からの助言や情報を得るべきとのIOCの意見に同調する考えだ」と述べた。

「結論を出す必要はない。五輪は来週や再来週の話ではない。まだ4か月ある」「そこで、IOCには情報と専門家の助言を集める機会を与えている」「現時点において、彼らに結論を出すことを要求する必要性はないと考えている」

 しかし、ライオンズ会長の発言のわずか数時間後、米国水泳連盟(USA Swimming)は大会の延期を要求し、新型コロナウイルスをめぐり、同国スポーツ界で意見の対立が深まっていることが明白になった。

 USOPCのサラ・ハーシュランド(Sarah Hirshland)最高経営責任者(CEO)宛ての公開書簡で、同水泳連盟のティム・ヒンチー(Tim Hinchey)CEOは、国内の五輪責任者が東京五輪の「延期を提案」するべきだとして、「われわれはUSOPCに対し、五輪ムーブメントにおける主導者として、アスリートのためにその声を使って訴えることを求める」とつづった。

 同日にこのコメント文が公表されたのは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が世界的に大流行している影響で、東京五輪に向けて備えるアスリートの不安が高まっていることが背景にある。また、IOCに7月24日から8月9日まで開催される東京五輪の延期を求める理由として、ウイルスの感染拡大を防ぐために課された規制が、トレーニングや競技大会の日程に大混乱をもたらしているとの声も上がっている。

 ヒンチーCEOによると、米国の水泳選手はトレーニング施設を探したり、スケジュールを再調整したりすることに追われて生活が「大混乱に陥ってしまった」という。「五輪までわずか数か月という中で、誰もが想像を絶する混乱に直面している。これで全員にとって本当の意味で公平な競技の場が保たれるのか疑問だ」 (c)AFP/Rob Woollard