【3月18日 AFP】新型コロナウイルスは空気中で数時間、固形物の表面で2~3日生存可能だとする研究結果を、米疾病対策センター(CDC)と複数の大学によるチームが発表した。

【図解】新型コロナウイルスの姿

 米政府の出資で研究を実施したのは、CDCとカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)およびプリンストン大学(Princeton University)の研究者ら。17日、米医学誌「ニューイングランド医学ジャーナル(New England Journal of Medicine)」に論文を発表した。

 これによると新型コロナウイルスは、段ボールに付着した場合は最長24時間、プラスチックやステンレスの表面では最長2~3日間検出が可能だった。また医療用噴霧器を用いてせきやくしゃみに似せて新型ウイルスを噴射したところ、空気中で3時間検出可能だったという。

 だが、これまでの感染は圧倒的にせきやくしゃみの飛沫(ひまつ)を通じて起きているが、この場合、ウイルスの生存可能期間はわずか数秒だ。そのため研究結果に対し、噴霧器が人間のせきやくしゃみを正しく再現していなかったのではないかとの批判も上がっている。

 今回研究を行ったチームは重症急性呼吸器症候群(SARS)についても同様の試験を行い、二つのウイルスが同じように振る舞うことを突き止めている。

 だが生存力が同様だとすると、SARSの流行では感染者約8000人、死者約800人だったのに対し、新型コロナウイルスでは感染者約20万人、死者約8000人とパンデミック(世界的な大流行)になっていることの説明がつかない。

 論文では「このことは二つのウイルスの疫学的特徴の差異がおそらく別の要因に由来していることを示している。例えば上気道におけるウイルス量の多さや、SARS-CoV-2(新型コロナウイルスの正式名称)の感染者が無症状状態でウイルスを広めている可能性などだ」と述べている。

 いずれにせよこの研究結果も、公衆衛生専門家らが勧告している予防法、つまり人と至近距離で接しないこと、顔を触らないこと、せきやくしゃみをする時は口や鼻を覆うこと、さらにスプレー清浄剤などによる周囲のまめな消毒殺菌と拭き取りなどを改めて支持する内容となっている。(c)AFP