【3月15日 AFP】新型コロナウイルスへの対策として、欧州の多くの地域でサッカー活動が止まる中、英イングランドでは5部にあたるナショナルリーグの試合が開催され、ファンのスポーツに対する飢えを満たした。しかし、開催の判断には異論も出ている。

 世界的な大流行の脅威が広がる中で、イングランドのサッカー界もプレミアリーグと2部から4部に当たるイングリッシュ・フットボールリーグ(EFL)の試合を少なくとも4月3日まで中断することを発表した。

 しかし、英政府は他国のような大規模集会の禁止策を打ち出しておらず、そのため草の根レベルではサッカーのリーグが続行されている。5部も少なくとも今週末はリーグ戦を行うことが決まり、感染拡大を懸念して延期になった試合もあったが、ノッツ・カウンティ(Notts County)対イーストリーFC(Eastleigh FC)の試合には5000人近いファンが観戦に訪れた。

 それでも、開催の判断には賛否両論が出ており、イーストリーFCのベン・ストリーブンズ(Ben Strevens)監督はリーグの欲深さを非難している。

 監督は「ナショナルリーグが試合を強行し、EFLやプレミアがやらなかった理由は、誰か知らないがナショナルリーグの理事たちが金のことしか頭にないからだ。シンプルな話だよ」「きょうだってまわりを見渡したら、年配の係員の方がいた。一番感染のリスクが高いのに」と話している。

 対してナショナルリーグの最高責任者であるマイケル・タッタソール(Michael Tattersall)氏は、こうした意見には反応せず、「今は言い争いをしている時期ではなく、社会情勢を鑑みるべき時期だ」「われわれもコメントを発表し、あらゆる人の取り組みに感謝するとともに、ウイルスに苦しんでいる人、隔離状態にある人にエールを送ろうと思っている」とコメントした。

 FCハリファクス・タウン(FC Halifax Town)対エブスフリート・ユナイテッド(Ebbsfleet United FC)の試合には2154人のファンが集まり、割合に穏やかな雰囲気の中で、昇格を目指すハリファクスが0-1で敗れた。

 試合開始前にサポーターの集まるパブを訪れたハリファクスファンの男性は「なんだか現実感がないね」「試合の予定表を見ていても、欧州の各国で延期や中止が決まっている」「その中で、ナショナルリーグやいくつかのリーグがまだやっているのを見るのは、ずいぶん妙な感じだよ」と話した。(c)AFP/Steven GRIFFITHS