【3月8日 AFP】サウジアラビア当局は、サルマン国王(King Salman)の弟やおいを含む王子3人をクーデター未遂の疑いで拘束した。関係者3人が7日、AFPに明らかにした。事実上の最高権力者であるムハンマド・ビン・サルマン皇太子(Crown Prince Mohammed bin Salman)が権力掌握を強めたことを示す動きとみられる。

 アラブと欧米側の当局者がAFPに語ったところによると、王室警備隊はムハンマド皇太子の追放を画策したとして、サルマン国王の実弟アハマド・アブドゥルアジズ・サウド王子(Prince Ahmed bin Abdulaziz al-Saud)と、おいのムハンマド・ビン・ナエフ前皇太子(Prince Mohammed bin Nayef)を拘束。前皇太子の弟であるナワフ・ビン・ナエフ王子(Prince Nawaf bin Nayef)も拘束対象になった。

 欧米側の当局者はサウジ政府筋を引用した上で、軍や内務省関係者もクーデター計画を支持した疑いで多数拘束されたと話し、「今回の粛清でムハンマド皇太子の王位継承を阻止する敵はいなくなった」と指摘した。

 王子3人の拘束は、84歳のサルマン国王の健康状態や、ムハンマド皇太子の王位継承が近いかどうかをめぐる憶測を引き起こしている。ただし皇太子に近い別の関係者はAFPに対し「国王は健康で元気だ」と述べ、拘束の狙いは王族内の「規律徹底」だと話した。

 この関係者は具体的な詳細への言及を避けながら、王子2人の敵対的言動が積み重なった後、ムハンマド皇太子が「主導」する形で粛清が行われたと付け加えた。

 王子3人の拘束を最初に伝えた米紙ウォールストリート・ジャーナル(Wall Street Journal)は、かつてムハンマド皇太子と王位継承権を争うと目されたアハマド王子とビン・ナエフ前皇太子が、終身刑か死刑に処せられる可能性もあるとしている。2人がどこで拘束されているかは不明。(c)AFP/Anuj Chopra