■レッテルと不名誉

 バングラデシュは、18歳以上の女性による売春を合法としている数少ないイスラム教国の一つ。同国の性労働者は、成人であることを示す証明書を所持し、この仕事に従事することへの同意が求められる。

 だが現実はもっといかがわしく、慈善団体はわずか7歳の少女たちが売春のためにおめかしさせられていたと報告。売春のための子どもたちの人身売買は増加しているとして警鐘を鳴らす。

 警察はしばしば、仲介業者や売春宿の経営者から賄賂を受け取って少女たちが18歳以上であることを示す証明書を提供するなど、共謀関係にあると非難されている。

 女性や少女1200人が日々最大で5000人の客を相手にするダウラトディア地区で、ベガムさんが性労働者として働き始めたのはわずか12歳の頃だった。

 バングラデシュの首都ダッカの約200キロ西方にある同地区は、全国に約12か所ある合法の売春街の一つで、路地が入り組みバラックが立ち並ぶ。

 この売春街は英国の統治下にあった100年前に開設されたが、1988年に地元の人々が元来の街に放火した後、現在の場所に移された。

 性労働者やその子どもたちは、パドマ(Padma)川の砂州に立つコンクリートやトタン製の小屋で暮らし、しばしば悪徳家主に法外な家賃を支払っている。

 この職業に従事することを強いられた人々は、膨れ上がって莫大(ばくだい)な額となった「借金」を、自分たちを連れてきた仲介業者や売春宿主に完済した場合にのみ辞めることができる。

 ただ、たとえそれが可能となっても、性労働にまつわるレッテルにより、多くの人は他の場所に行く当てなどないと感じている。