■増え続けるホームレス

 この住宅の所有権を持つ不動産投資グループのウェッジウッド(Wedgewood)は最終的に、手頃な住宅のための不動産取得を行っている非営利団体にこの建物を売却することで同意した。

 市当局者によると、昨年、オークランドの保護施設や路上や車上で生活していた人は推定4071人で、2年間で47%増加した。だが活動家らは、その数はおそらく6000人を超えるだろうと推定している。人口42万5000人の同市では、多くの人が他人の家やホテルで暮らしており、その数は公式統計に含まれていないからだ。

「マムズ・フォー・ハウジング」と緊密に協力しているレベッカ・カプラン(Rebecca Kaplan)市議会議長は、「オークランドのホームレスは過去数年間に、当市史上かつてない速さで拡大している」と語った。

■誰でもホームレスになる可能性 

 カプラン氏はホームレス急増の理由として、住民が差し押さえや家賃の上昇で住む家を失っていることに加え、ウェッジウッドのような不動産投機会社による住宅価格の押し上げが危機を悪化させていると指摘した。ウェッジウッドの広報担当者がAFPに語ったところでは、同社はここ数か月だけでもオークランドで住宅50軒を購入している。

 カプラン氏によると、問題をさらに複雑にしているのは、米国内で最も住居費の高い大都市圏であるサンフランシスコとシリコンバレー(Silicon Valley)の好景気だ。一帯では数千人分の雇用が創出されているが、増加する労働力を吸収できる手頃な住宅建設はほぼ皆無だ。

 バークレー(Berkeley)付近に家を見つけたウォーカーさんは、しばらくはホームレスの代弁者を続け、いずれは看護の学位を修了したいと語った。「ホームレスになるのは薬物依存症や精神病の人だけだろうと思っている限り、この問題は理解できない」とウォーカーさん。

「あらゆる人にこの運動に加わることを勧めたい。なぜなら教師も、看護師も、作業員も、私たちみんなが、億万長者になるよりもホームレスになる方がずっと近いのだから」 (c)AFP/Jocelyne ZABLIT