【4月11日 AFP】サウジアラビアに留学中のウイグル人男性(30)は、目に涙を浮かべながら、とっくに期限が切れている中国の旅券(パスポート)を見せた。サウジアラビアと中国は関係を深めていることが、この男性の未来をさらに不透明にしている。

 在サウジアラビア中国大使館は、2年以上前からイスラム系少数民族ウイグルのパスポートの更新を停止している。活動家らはこれを、国外に住むウイグル人を強制的に帰国させるために多くの国で中国政府が実施している圧力戦略だと指摘する。

 AFPはサウジアラビア在留のウイグル人6家族のパスポートを確認したが、いくつかの有効期限は切れており、期限が迫っているのもあった。中国では100万人以上のウイグル人が強制収容所に拘束されていると考えられており、この家族らは口々に帰国するのは怖いと訴えた。

 イスラム教の聖地メディナ(Medina)で宗教学を学ぶこの留学生のパスポートの期限は、2018年に切れている。「動物でさえ外国に住めばパスポートを持つことができる」と男性は話す。

「(政府は)私のパスポートを更新するか、私の国籍破棄を認めるかどちらかの対応をとるべきだ。今の状態では、私たちは価値のない人間のように思えてくる」

 現在、サウジアラビアのウイグル人には、中国へ帰国する場合にだけ適用される片道の旅行証が提供されている。ウイグル人らは、拘束される危険を冒して帰国するか、サウジに不法滞在して絶えず国外追放におびえながら暮らすかという不可能に近い選択を迫られている。

 ノルウェーを拠点するウイグル人言語学者アブドワリ・アユップ(Abduweli Ayup)氏は、「ウイグル人が帰国した場合、待っているのは拘束だ」とAFPに語った。