祖国という足かせ…亡命ウイグル人にも及ぶ中国の監視
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【7月31日 AFP】10年前、約200人が死亡した新疆ウイグル自治区(Xinjiang Uighur Autonomous Region)での大きな暴動をきっかけに、フォトグラファーだったシャウドゥン・アブドゥグプル(Shawudun Abdughupur)さんは、故郷から1万2500キロ離れたニュージーランドへ妻と一緒に亡命した。
当時33歳だったアブドゥグプルさんは、中国にいては未来がないと思ったのだった。祖国から逃げ出すことには胸が痛んだが、より安全でより良い生活を得るための選択だった。
新疆ウイグル自治区の大部分は19世紀後半に中国に併合され、1950年代初めには全地域が中国共産党の支配下に置かれた。
区都ウルムチ(Urumqi)で発生した10年前の暴動以降、中国は新疆ウイグル自治区での弾圧を続け、推定100万人を拘束し、今では世界最先端の監視国家といえる監視技術を発展させた。
■「われわれはお前を見つけることができる」
他の多くの亡命ウイグル人と同様、アブドゥグプルさんは新しい生活を築こうとしている慣れない国で、中国当局から日常的に嫌がらせを受けている。国境も、海も、ニュージーランドのパスポートも、中国当局によるウイグル人迫害を止めることはできない。
現在は配管工として働くアブドゥグプルさんは、中国に残る家族と連絡を取り続けようとしたことで、中国当局にいっそう目をつけられたと話す。
治安当局から初めてかかってきた電話は単刀直入で、スカイプ(Skype)を使って新疆ウイグルにいる親戚の番号に連絡するのをやめるよう指示してきた。
その後、中国に住む母親に弟のことを聞いても、母親は無言になるか、泣くだけになった。「母に何度も『彼はどこにいるんだ?』と聞いたが、泣くだけで何も答えなかった」
また母親は、ニュージーランドのウイグル人社会について妙な質問をし始めた。「誰かに強制されたんだ」とアブドゥグプルさんは語った。その後、治安当局から直接テキストメッセージと電話で尋問されるようになったという。
アブドゥグプルさんへの脅迫電話は、いつもニュージーランド国内の携帯電話または固定電話の番号からかかって来た。それは「われわれはお前を見つけることができる。われわれはニュージーランドにいる」という恐ろしいメッセージだった。