【2月1日 AFP】南アフリカの東ケープ(Eastern Cape)州では、最後にまともに雨が降ったときのことを誰も覚えていない。5年前だったと言う人もいれば、6年前と言う人もいる。

 この土地で30年間、農業を営んできたスティーブ・ボスマ(Steve Bothma)さん(51)でさえ、これほどの干ばつを経験するのは初めてだ。「大惨事だ」とボスマさんは話す。

 南アは今、過去数十年間で最悪の干ばつと闘っている。何年もまともに雨が降らず、降っても不安定。それに記録的な高温が重なった。収穫が乏しく、家畜が痩せ衰えて、数百万の人々が飢えに直面している。

 南アは最良の時でさえ、世界有数の乾燥地だ。だが、現在の干ばつは状況を悪化させている。

 ボスマさんは所有するメリノ種の羊を、子羊を含め、約60%間引かなければならなかった。干ばつのため、保持できる「種畜」はわずか2000頭だ。

 風の強い砂利道の両側に広がる干からびた野原が、山並みのふもとに隠れた一番近くの町アデレード(Adelaide)まで続いている。

 荒野で牛は木片をかみ、羊は餌を探してぶらつく。町では家畜の群れが通りをうろつき、ゴルフ場の枯れた芝生をはむ。最も近くにあるダムは、昨年の初めに干上がった。

 南アの慈善団体「ギフト・オブ・ザ・ギバーズ(Gift of the Givers)」は昨年4月から、アデレードで水の配給を支援している。(c)AFP/Béatrice DEBUT