バイキングの「ルーン石碑」、気候変動への懸念に関連か 研究
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【1月9日 AFP】(写真追加)世界で最も有名なルーン文字の石碑の一つである「レーク石碑(Rok stone)」は、北欧スカンディナビア(Scandinavia)地域における過去の寒冷気候の再来を恐れたバイキング(Viking)によって設置された可能性が出てきた。研究結果が8日、発表された。
スウェーデン中南部にあるベッテル(Vattern)湖の近くに9世紀に建てられたレーク石碑には世界最長のルーン文字の碑文が刻まれており、700以上のルーン文字が石碑の5つの面を覆っている。
レーク石碑は、作者の息子の死を悼み建てられたと考えられているが、一部が欠けていたり、複数の異なる記述形式が含まれていたりするため、碑文の正確な意味は分かっていない。石碑には「テオドリック(Theodoric)」の英雄的行為に関する言及もあり、これは6世紀に現在のイタリアにあたる地域に君臨した東ゴート人(Ostrogoths)の王テオドリックのことを指していると、一部の研究者らは考えている。
しかし、スウェーデンの3大学の共同チームは今回の研究で、レーク石碑の碑文はむしろ、迫り来る極度の寒冷期について言及したものだとの考えを示した。石碑を建てた人物が、自身の子どもの死をより大局的な視点で捉えようとしている様子がうかがえるという。
「碑文には、息子の死によって誘発された不安と、紀元536年の後に発生したのと同様の破壊的な気候危機が新たに起きることへの懸念が記されている」と、研究チームは述べている。
連続した火山噴火で引き起こされたと考えられる6世紀の気候危機は、平均気温の低下によって気候に劇的な影響を及ぼし、作物を壊滅させ、その後に飢饉(ききん)と大量絶滅を招いた。
その結果、スカンディナビア半島の人口は50%以上減少したと推定されており、この事象の記憶が次の世代に伝えられ、神話にも影響を与えた可能性があると、チームは指摘している。