■「極めて不吉」

 今回の研究で提示された最新の解釈は、文献学、考古学、宗教史などを含むさまざまな専門分野の研究者らによる共同研究に基づくものだ。

 碑文の一節では、100年間にわたる戦闘への言及が示唆されている。だが、これは別の種類の闘いについて述べたものである可能性があると、研究チームは示唆している。それは「光と闇、暖と寒、生と死などの間の争いだ」という。

 さらに碑文には、作者の一生の間に起きた「極めて不吉と思われた」であろう多数の出来事が取り入れられている。

 これについて、スウェーデン・ウプサラ大学(Uppsala University)のボー・グラスランド(Bo Graslund)教授(考古学)は、「強力な太陽嵐が空を劇的な赤色に染めたこと、極度に寒冷な夏の影響で作物の収穫量が減少したこと、そして、日の出の直後に日食が起きたこと」と説明する。

 グラスランド教授は、「これらの出来事のうちの一つでさえも、『大いなる冬(Fimbulwinter)』が繰り返されることへの懸念を引き起こすのに十分だったと考えられる」と述べ、北欧神話に登場する3年間続く冬──世界の終わり「ラグナレク(Ragnarok)」が差し迫っていることを示す前兆──に言及した。(c)AFP