【1月7日 東方新報】会社法違反(特別背任)罪などで起訴された日産自動車(Nissan Motor)前会長のカルロス・ゴーン(Carlos Ghosn)被告が保釈中に無断出国し、レバノンに逃亡したことについて、中国のインターネットで意外な反応が広がっている。「ゴーン被告は日本のアニメ『名探偵コナン(Detective Conan)』の手口をまねした?」というものだ。

『名探偵コナン』は、小学生探偵の江戸川コナン(本来は工藤新一という高校生だが、犯罪グループに薬物を飲まされ小学生の体になってしまった)が次々と難事件を解決していく日本のマンガ・アニメ。長い人気を誇り、2019年4月には映画『名探偵コナン 紺青の拳(フィスト)』が上映され、劇場版シリーズ23作目でありながらシリーズ最高収入を記録した。

 中国でも「柯南(Kenan)」という表記で大人気で、コナンを知らない中国の若者はいないといっても過言ではない。中国は外国映画の上映本数を制限し、国産映画の振興に力を入れているが、『名探偵コナン』は別格。日本で上映後すぐに中国全土でも上映される。

 映画『紺青の拳』では、コナンがスーツケースに入り、日本から海外へ出国するシーンがある。コナンは宿敵・怪盗キッドに日本国内で拉致され、スーツケースに隠されてシンガポールに到着するのだ。自ら海外逃亡を図ったゴーン被告とは異なるが、ゴーン被告が大きな楽器ケースか音響機器に隠れて逃亡したとされることから、中国では「コナンと一緒だ」と盛り上がっている。

 中国は現在、賄賂などの汚職に手を染めて海外逃亡している高級官僚を捜し出し、国内に連れ戻す「キツネ狩り作戦」を展開している。そのため、似たような方法で海外逃亡したゴーン被告についての関心も高い。中国メディアは「かつての日産の救済者が独裁者となり、今や逃亡者となった」「大逃走にまつわる3つのナゾ」など、さまざまな視点から報道しているが、基本的には日本の報道の引用や新しい動きを伝えていて、それほど斬新な内容は見当たらない。

 しかし、ネットニュースやまとめサイトのコメント欄で目立つのが「名探偵コナン」とのかかわりだ。誰かが「ゴーン被告は『紺青の拳』を見たとの説」などと書き込むと、次々に「俺もそう思った」「事実はアニメより奇なり」とコメントが増えていく。

 ネット上では「保釈時にマリオみたいな変装をしていた。サブカル好きで、コナンも見ているかも」「今回は怪盗キッドの変装をしてたりして」などの書き込みもあり、中国のネット民がこの逃亡劇を日本のアニメとつなげて盛り上がっている様子が見られる。(c)東方新報/AFPBB News