【12月27日 東方新報】中国公安部刑事偵査局とIT大手の阿里巴巴集団(アリババ・グループ・ホールディング、Alibaba Group Holding)などが共同で開発した「銭盾詐欺防止警告システム」が先日、ローンチされた。ネット詐欺電話などを防ぐシステムで、ユーザーがネット詐欺電話・通信を受け取ると、このシステムが自動的にその情報を受け取り反応、被害者になる可能性のあるユーザーに警告電話を発信する仕組み。警告は電話以外にも、ショートメッセージで送られるほか、携帯電話・スマートフォン画面に一瞬、警告ポップが現れる。もし警告ポップを読まなければ携帯電話・スマートフォンのその他の操作ができなくなるという。このポップの警告文や警告電話の番号は、保護技術によってコピーされ、悪用されないようになっている。

 ネット・通信新型詐欺犯罪取り締まり工作にかかわる国務院の関係機関をまたぐチームの責任者で、公安刑事偵査局の劉忠義(Liu Zhongyi)局長によれば、今年に入ってネット・通信詐欺は急増。当局が摘発したネット・通信詐欺事件は、16.2万件におよび13.9万人の容疑者を逮捕。これはそれぞれ前年同期比42.7%増、93.1%増という。

 公安当局はネット・通信詐欺防止センターを設置し、詐欺被害を未然に防ごうと警告電話を被害者にかけているが、被害者は往々にして深く洗脳されており、自分が詐欺に遭いかけていることを認めない。また、警察の詐欺防止警告電話を逆にいたずら電話だと怪しんで受信拒否するという問題があった。たとえば今年7月、江蘇省(Jiangsu)南通市(Nantong)の女性教師が公的検査員のなりすまし詐欺にあった際、南通市の詐欺防止センターの警官が何度も電話で警告しても、彼女は自分が詐欺に遭っているということを信じなかった。女性教師が詐欺容疑者に協力して第三者の詐欺に加担した事件が摘発されたときには、彼女自身がすでに140万元(約2192万円)をだまし取られていたという。

 深セン市(Shenzhen)の詐欺防止センターのデータによれば、毎日1000件以上の詐欺警告電話を発信しているが、4割が受信を拒否し、詐欺を未然に防げたのはたった1人。その1人も5回目の警告電話をようやく受け入れたという。専門家によれば、詐欺被害者は洗脳されているうえ、詐欺防止警告電話の番号も統一されておらず、知名度も低いことが関係あるという。ある詐欺防止センターの警官は「警告電話は、セールスや詐欺電話そのものに間違われる」と打ち明ける。

 そこで公安当局は工業情報化部やネット企業と協力して詐欺予防警告システムを開発、統一した番号を設置したほか、強制的に警告できる仕組みをつくった。これにより警告電話は無視されなくなり、詐欺防止警告の成功率が大きく上昇することが期待されている。

 先月15日以降、一部地域でこのシステムをテスト導入したところ、毎日平均3000人以上に警告電話が発信でき、詐欺防止の成功率は96%に上ったという。

 北京師範大学(Beijing Normal University)の彭新林(Peng Xinlin)副所長は「公安の『詐欺防止専門番号』を統一することが詐欺防止の権威性を増強し、被害者の警察に対する信頼度を引き上げることができた」と評価している。(c)東方新報/AFPBB News