【1月4日 AFP】イラクの首都バグダッドに対する米国の攻撃で、イラン革命防衛隊(IRGC)の精鋭部隊「コッズ部隊(Quds Force)」のガセム・ソレイマニ(Qasem Soleimani)司令官が死亡したことを受け、多くの国の政府は3日、自制を呼び掛け、警戒を強めた。

 ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領の与党・共和党や、米国と緊密な同盟関係にあるイスラエルは攻撃を称賛した。一方その他の各方面からは、地域の緊張をあおる恐れがあるとして厳しい警告が発せられた。

 クレムリン(ロシア大統領府、Kremlin)は、ウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領とフランスのエマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)大統領との電話会談の書き起こしを公表。この中でプーチン大統領は「この攻撃により、地域の状況が大いに悪化する恐れがある」との見方を示した。

 フランスのエリゼ宮(Elysee Palace、大統領府)によると、マクロン氏はこの電話会談で「新しく危険な緊張の拡大」を招くべきではないと述べ、「すべての当事者に対し、自制を伴った行動を求める」と呼び掛けた。

 国連(UN)のアントニオ・グテレス(Antonio Guterres)事務総長の報道官は声明文で、「各指導者は最大限の自制を行使しなければならない時を迎えた。世界は、湾岸地域で新たな戦争の勃発を許す余裕はない」と表明した。

 中国外務省の耿爽(Geng Shuang)副報道局長は、「われわれは関係各方面、特に米国に対し、さらなる緊張激化の回避を目指して冷静さを維持し、自制に努めることを促す」と述べた。

 イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ(Benjamin Netanyahu)首相はトランプ大統領を称賛。「イスラエルが自衛権を持つのと同様に、米国もまさに同じ権利を持つ」と述べた。

 シリア政権は米国の攻撃を批判し、殺害されたソレイマニ司令官をたたえた。シリアのバッシャール・アサド(Bashar al-Assad)大統領は、イランの最高指導者アリ・ハメネイ(Ali Khamenei)師に送った書簡の中で、シリア市民はソレイマニ司令官が「一貫してシリア軍側についたことを決して忘れない」と述べた。

 イラクのアデル・アブドルマハディ(Adel Abdel Mahdi)首相は米国の攻撃について、「壊滅的な戦争を引き起こす」恐れがあるとして非難した。

 ソレイマニ司令官が殺害された攻撃では、イラクのイスラム教シーア派(Shiite)武装勢力の連合体「人民動員隊(Hashed al-Shaabi)」の事実上の指導者とみなされ米国にテロリスト指定されていたアブ・マフディ・ムハンディス(Abu Mahdi al-Muhandis)副司令官も死亡している。(c)AFP