【10月29日 AFP】ドナルド・トランプ(Donald Trump)米政権がジョー・バイデン(Joe Biden)前副大統領親子を捜査するようウクライナに圧力をかけたとされる問題で、ホワイトハウス(White House)の国家安全保障会議(NSC)のメンバーが下院による弾劾調査に対し、米政府がウクライナに圧力をかけようとしたのを目の当たりにし、NSCの主任弁護士に国家安全保障上の脅威だと報告したと証言する意向であることが分かった。

 証言を行うのは米軍のアレクサンダー・ビンドマン(Alexander Vindman)中佐。トランプ氏がウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領に圧力をかけたとされる電話会談を直接聞いたホワイトハウスの高官として初めて、下院委員会で証言することになる。

 28日夜に米メディアに公開されたビンドマン氏の証言の予定原稿には、トランプ氏が大統領としての権限を乱用し、来年の大統領選に向けてウクライナ政府の支援を得るために選挙に関する法律に違反したとの疑惑に対する、これまでで最も有力な証言が含まれている。

 ビンドマン氏によると、同氏は米側がウクライナの国家安全保障担当官オレクサンドル・ダニリュク(Oleksandr Danylyuk)氏に圧力をかけたとされる7月10日の会合に参加。会合で米側は、2016年の米大統領選でウクライナ政府が民主党を支援したという真偽不明の話や、次期米大統領選の民主党有力候補であるバイデン氏の汚職疑惑に対する捜査を要求したという。

 またビンドマン氏は、ダニリュク氏に圧力をかけたのはトランプ氏と近しいゴードン・ソンドランド(Gordon Sondland)駐EU大使であり、「会合後の報告でソンドランド大使は、ウクライナが2016年の選挙、バイデン親子、ブリスマ(Burisma)に対する捜査に言及したことの重要性を強調していた」と指摘。ブリスマはバイデン氏の息子、ハンター(Hunder Biden)氏が重役を務めていたウクライナのエネルギー企業だ。

 さらにビンドマン氏は「バイデン親子に対する捜査要求は安全保障と関係なく、不適切だ」とソンドランド氏に忠告した上、NSCの主任弁護士に懸念を伝えたといい、トランプ氏とゼレンスキー氏の電話会談を直接耳にしたのはその2週間後だったという。

 民主党は今週31日、トランプ氏の正式起訴のほか、2か月程度で弾劾投票を行うことも視野に入れた弾劾調査の段取りについて明らかにする予定。(c)AFP