【7月24日 AFP】ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領が、ナレンドラ・モディ(Narendra Modi)印首相からインドとパキスタンの間で続くカシミール(Kashmir)紛争の仲裁を要請されたと発言したことを受け、スブラマニヤム・ジャイシャンカル(S. Jaishankar)印外相は23日、議会で猛反発する野党に対し、モディ首相からの依頼はなかったと述べ、トランプ氏の発言を断固として否定した。

 数十年間にわたり数万人の命を奪ってきたカシミール紛争については、パキスタンが第三国による仲裁をたびたび希望してきたのに対し、インドは2国間でのみ解決できる問題だとして仲裁を拒否してきた。

 トランプ大統領は22日、ホワイトハウス(White House)でパキスタンのイムラン・カーン(Imran Khan)首相と会談した際、モディ首相から2週間前にカシミール紛争の仲裁を依頼されたと説明。この発言が引き金となり、インドでは激しい政治論争が巻き起こった。

 ジャイシャンカル外相は議会で「モディ首相がトランプ大統領に対しそうした要請はしていないということを、議会に対しはっきりと保証したい」と述べたが、同外相の声は野党の怒号によりほぼかき消された。

 ジャイシャンカル外相は、カシミール紛争は2国間でのみ解決できると強調し、パキスタンは対話に先立ち「国境を越えたテロ」を終わらせなければならないと主張した。

 米国務省も火消しを試みている。アリス・ウェルズ(Alice Wells)国務次官補代理(南アジア担当)はツイッター(Twitter)投稿で「カシミール紛争は両当事者で議論すべき2国間の問題ではあるものの、トランプ政権はパキスタンとインドの対話を歓迎し、米国には協力の用意がある」と表明した。(c)AFP