【6月17日 AFP】ポルトガルの首都リスボンで12日、市の守護聖人、聖アントニオ(Saint Anthony)にちなんだ毎年恒例の無償の合同結婚式が執り行われ、16組のカップルが新たに家族となった。

 聖アントニオは結婚や縁結びをつかさどる守護聖人。リスボンでは毎年、6月13日の「聖アントニオの祝日」の前日に、結婚資金の捻出が難しいカップルに豪華な結婚式をプレゼントする伝統がある。総額40万ユーロ(約4900万円)相当の結婚費用は全額、スポンサーやテレビ放映権によって賄われ、式の様子はテレビ中継される。

 幸運なカップルの1組となったタニアさんとオルランドさんは、付き合って15年近く。「いつか聖アントニオの祝日に結婚したいねと、2人でよく冗談を言っていました。こんな豪華な結婚式、自前では永遠に無理」と話した。

 花嫁たちは市庁舎で、数時間かけて身支度をととのえた。髪のセットや化粧を担当したのは、全国からこの日のために選ばれた美容師やメーキャップアーティストたち。着用したドレスも1着ずつ別々のデザイナーが寄贈した。

 16組のカップルは、まず5組が民事婚を挙げ、それから全員で市庁舎のバルコニーに出て、歓声を上げる群衆に手を振ってあいさつした。その後、11組はビンテージカーで坂を上って約650メートル離れた旧市街アルファマ(Alfama)地区の入り口にある大聖堂へと移動し、挙式した。(c)AFP