【6月5日 AFP】オーストラリアの警察当局は5日、公共放送ABCの本社などを家宅捜索した。ABC幹部によると、警察当局はシドニーにある複数のABCオフィスを捜索したという。機密情報漏えいに関する家宅捜索が報じられたのは、過去24時間で2件目となる。

 ABCは2017年、アフガニスタンに派遣された豪軍特殊部隊が無実の男性らと子どもたちを殺害したとする政府文書を入手。豪連邦警察は今回の捜索について「犯罪法の条項に違反して、機密文書を公表した疑惑に関連した」ものと説明している。

 前日4日には、豪当局が一般市民の情報傍受を行う権限を得ようとしている動きを詳しく報じた記者が、首都キャンベラにある自宅を家宅捜索されている。

 どちらの家宅捜索も、機密情報や機密事項となり得る情報に関連したもので、当局にとっては厄介な問題だ。

 捜査の数日前に再選を果たしたスコット・モリソン(Scott Morrison)首相は、一連の家宅捜索から距離を置く姿勢を示し、政府ではなく警察の問題だと主張した。

 モリソン首相は訪問中の英ロンドンで「わが国は報道の自由を強く信じており、われわれはその自由を明確に規定し保護している」と述べると同時に「また、わが国の安全保障を護持する明確な規定もあり、誰もが議会で成立した法のすべてに従って活動すべきだ」と語った。

 メディアや娯楽産業界の労働組合MEAAは、キャンベラの記者に対する家宅捜索について、「明らかに公共の利益となる正当なニュースを記者が報じることを罰しようとする、報道の自由に対する理不尽な攻撃」だと非難した。

 オーストラリアのメディアは一般的に政治的な干渉からは自由に報道できるが、安全保障関連の法律が報道可能とされる内容に影響を及ぼすことがある。(c)AFP