【4月18日 AFP】国際ジャーナリスト組織「国境なき記者団(RSF)」は18日に公表した年次報告で、ポピュリストや権威主義的な指導者によるジャーナリストに向けた嫌悪が、世界中でジャーナリストを標的にした暴力となっていると警告を発した。

 仏パリを拠点とするRSFは、報告書と共に毎年公開している世界180の国・地域における報道の自由度を評価した「報道の自由度ランキング」で、ジャーナリストが安全に活動できる国の数も激減したと指摘した。

 RSFはメディアに対する政治家の敵対的な態度が、ジャーナリストらに対する暴力行為をあおっていると指摘し、ジャーナリストらが経験する恐怖や危険はかつてないほどに達していると述べた。

 ランキングの対象となった180か国のうち、報道の自由度が高いと評価されたのは全体の4分の1以下。

 48位の米国について報告書は、2016年の大統領選でドナルド・トランプ(Donald Trump)政権が発足して以降の期間を、「米国のジャーナリズム界における暗黒時代」の一つと位置付けた。これは特に女性や有色人種のジャーナリストらに向けられたトランプ氏の「悪名高い反メディア発言」や「激しい嫌がらせ」と結びついている。

 また米国のジャーナリストがこれほど殺害予告の標的になったり、警備会社に頻繁に保護を依頼したりすることは、これまでなかったとも指摘。イスタンブールで起きたサウジアラビア人ジャーナリストのジャマル・カショギ(Jamal Khashoggi)氏の残虐な殺害事件にも言及し、「もはや限度を知らない」強硬な指導者が増える傾向に恐怖を抱いていると述べた。

 RSFが「先駆的な抑圧の国」と評するロシアはランキングを下降し続け、今年は149位まで下がっている。また常にランキングの下位にとどまっている中国は、今年も最下位から4番目に位置付けられた。(c)AFP/Fiachra GIBBONS