【5月13日 AFP】ポーランドの右派与党「法と正義(PiS)」のヤロスワフ・カチンスキ(Jaroslaw Kaczynski)党首は12日、児童への性的虐待を厳しく取り締まると約束した。カトリック教徒が国民の大半を占め、教会が大きな影響力を持つ同国では、司祭らの幼児性愛を追及したドキュメンタリー映画が11日にインターネット公開されて話題を呼んでいる。

 国内メディアの報道によると、ポーランド政界の黒幕として知られているカチンスキ氏は、「子どもたちを預かる立場にある者(が性的虐待に及んだ場合)は、特に厳しく罰する。聖職者はもちろん、著名人など、誰でも対象となる」と述べた。現行法では15歳未満の児童虐待は最長12年の禁錮刑の対象だが、最長30年とする可能性にも言及した。

 これに先立ち11日、フリージャーナリストのトマシュ・セキエルスキ(Tomasz Sekielski)氏の手掛けたドキュメンタリー映画が動画投稿サイト「ユーチューブ(YouTube)」に公開され、24時間以内に400万回以上再生されるなど大きな反響を呼んでいた。

 同作は2時間の長編で、子どもの頃に司祭から性的虐待を受けた被害者が、成人となった今、年老いた加害者と対面する様子を隠しカメラで捉えた映像や、何人かの司祭が数十年前の虐待を認めて謝罪し、金銭的な補償を示唆する場面などが登場する。

 また、児童への性的虐待で非難され、場合によっては有罪となった司祭らが、別の教区へ異動になって再び司祭職や子どもたち相手の任務に就いていた経緯も、ドキュメンタリーの中で明らかにされた。

 タブーに踏み込んだこのドキュメンタリー映画は、かつて共産国だったポーランドで一党独裁の政府が教会の弱体化を狙っていた当時に横行していた司祭らによる性的虐待について、ポーランド生まれのローマ法王、故ヨハネ・パウロ2世(John Paul II)が見て見ぬふりをしていたと結論付けている。(c)AFP