会長の娘が米スタンフォード裏口入学の疑い 中国・歩長製薬に試練
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【5月10日 CNS】中国・山東歩長製薬(Buchang Pharmaceuticals)の趙濤(Zhao Tao)会長は、娘の米スタンフォード大学(Stanford University)への裏口入学のために650万ドル(約7億1600万円)を支払った疑いで話題を集めている。趙会長は3日、「娘の米国留学はあくまで個人と家庭の問題で、歩長製薬の資金とは無関係。歩長製薬は株式上場企業であり、その経営管理は独立したものだ」との声明を発表した。
それでも、歩長製薬と趙濤会長に対する風当たりは依然として厳しい。さらに、この裏口入学疑惑をきっかけに、歩長製薬の過去の賄賂や主要製品の品質不良問題が改めて世間で取りざたされ始めた。
「中国裁判文書ネットワーク」(China Judgement Online)で過去の事案を調べたところ、歩長製薬は過去、何度か贈賄にからんでいた。
歩長製薬の創設者の一人で趙濤会長の父親である趙歩長(Zhao Buchang)が2002年、同社の製品「脳心通(Naoxintong)カプセル」を地方規格から国家規格へ昇格させようとして、当時の国家食品・薬品監督管理局局長の鄭篠萸(Zheng Xiaoyu)に1万ドル(約110万円)の賄賂を贈る事件が起きていた。
また、16年には、福建省(Fujian)上杭県(Shanghang)渓口鎮(Xikou)衛生院(診療所)の薬局責任者や同県茶地郷(Chadi)衛生院の院長らが、歩長製薬の販売員からリベートを受け取り、収賄罪の判決を受けたことがあった。
同社はさらに18年にも、湖南省(Hunan)益陽市(Yiyang)の医薬品市場開拓のため、MR(医薬情報担当者)から病院や衛生院の医師に一定のリベートを渡し、複数の人物が贈収賄で有罪判決を受けている。
一方、品質に関しては、同社の「脳心通カプセル」「穏心(Wenxin)顆粒」「丹紅(Danhong)注射液」「谷紅(Guhong)注射液」の四つの主力製品のうち、「脳心通カプセル」と「丹紅注射液」で、これまで何度か問題が明るみに出ている。
17年4月には、「脳心通カプセル」の成分の一つ「タンシノンIIA」の含有量不足が原因で、食品医薬品監督部門から品質不合格と判定され、同年7月にはやはり「脳心通カプセル」で毛髪らしき異物の混入問題も発生している。
このほか、「丹紅注射液」は18年4月、投与された患者に重大な有害反応が多発したとして、11の省・直轄市で使用制限の対象になった。
こうした情報の影響を受け、歩長製薬の株価は4月30日の終値で1株31.91元(約517円)まで値を下げた。発行価格の1株55.88元(約906円)と比較して、4割以上の下落となっている。(c)CNS/JCM/AFPBB News