【3月27日 AFP】サッカー欧州選手権(UEFA Euro 2020)予選の試合で、イングランドの黒人選手を標的にした人種差別があったことが疑われている問題で、欧州サッカー連盟(UEFA)が懲戒手続きを開始する中、イングランドのギャレス・サウスゲイト(Gareth Southgate)監督は差別の撲滅には教育活動が必要だと訴えている。

 敵地で行われた25日のモンテネグロ戦では、イングランドの5点目を決めたラヒーム・スターリング(Raheem Sterling)が、差別に屈しないという意思表示として、相手サポーターに向けて両手を耳に当てるセレブレーションを見せた。またカラム・ハドソン・オドイ(Callum Hudson-Odoi)は、自分とダニー・ローズ(Danny Rose)に向けたモンキーチャント(猿の鳴きまね)を聞いたと話している。

 UEFAは26日、モンテネグロ側に差別的な振る舞いや観客による騒動などがあったとの報告を受け、懲戒手続きに入ったことを発表。5月16日に審議が行われる予定となっている。

 しかしサウスゲイト監督は「教育のための取り組みを同時に行わなければ、制裁は無価値だ」と話している。

「私の子どもたちは、相手の生まれや話す言葉、肌の色を少しも気にしない」「若者は純粋で、影響を与えるのは大人たちだ。だからこそ、誰にとっても教育こそが適切だということを確認する必要がある」「私の国でも同じだ。繰り返すが、私はただ今回のことを批判しているのではない。われわれの国も同じ問題を抱えている。われわれも無関係ではないんだ」

 モンテネグロのニコラ・ヤノビッチ(Nikola Janovic)スポーツ相も、今回の一件を「強く非難」した。スポーツ相は声明で「一部の人たちが本当に不適切なメッセージを発信したのだとすれば、政府とスポーツ省を代表して、それを強く非難し、モンテネグロではそうした行為は一切許されないし、理解もされないというメッセージを伝えたい」と話している。(c)AFP/John WEAVER