【3月19日 AFP】サッカー元ドイツ代表のMFメスト・エジル(Mesut Ozil)が、今夏に予定している自身の結婚式にトルコのレジェプ・タイップ・エルドアン(Recep Tayyip Erdogan)大統領を招待したとの報道を受け、国内で批判を集めている。18日には、ドイツのヘルゲ・ブラウン(Helge Braun)首相府長官からも厳しい言葉が飛んだ。

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 トルコにルーツを持っている30歳のエジルは、ドイツが惨敗したW杯ロシア大会(2018 World Cup)直前の昨年5月、エルドアン大統領と写真を撮影して同国代表としての忠誠心を疑問視されるなど、物議を醸した。

 エジルはドイツが優勝した2014年のW杯で中心選手として活躍するなど計92キャップを記録していたが、同国サッカー連盟(DFB)から人種差別を受けたとして、昨年7月に突然代表を引退した。

 イングランド・プレミアリーグのアーセナル(Arsenal)でプレーしているエジルは、元ミス・トルコのアミネ・ギュルシェ(Amine Gulse)さん(25)と共にイスタンブールのエルドアン大統領の元を訪れ、結婚式の招待状を手渡して証人として式に出席するよう頼んだとされている。この件が17日に独紙ビルト(Bild)で報じられると、ここ数年にわたり人権問題でトルコと激しく対立しているドイツでは即座に批判の声が上がった。

 アンゲラ・メルケル(Angela Merkel)首相の与党キリスト教民主同盟(CDU)に所属するブラウン長官は、同紙に対して、最初にエルドアン大統領と面会したときにすでにドイツ国民から厳しい批判にさらされていたにもかかわらず、エジルが今回の行動に出たことは「人を悲しませる行為」という見解を示し、「こうしたことが続き、多くのサッカーファンが失望しただろう。私もがっかりだ!」と述べた。

 長官はエジルの「個人的な決断」は尊重しなければならないとしながらも、同選手に対して、特にドイツで暮らすトルコ系の若者にとって模範的存在でいるように訴えた。

「サッカー選手は、私たちの社会において象徴的存在であり、政治家よりもはるかに認知されている」「そうしたことを踏まえて上がってくる疑問は、代表ユニホームを着ている選手が、どれだけドイツを代表しているのか?ということだ」 (c)AFP/Ryland JAMES