【1月17日 AFP】野生種のコーヒーの5分の3に絶滅の危険性があると警告する最新の研究論文が16日、発表された。世界で愛飲されているコーヒーの未来が、気候変動、病気、森林伐採の破壊的な組み合わせによって脅かされているという。

 毎日20億杯以上が飲まれている巨大なコーヒー業界は、商業的に栽培される品種を維持し、疫病がもたらす脅威の変化に適応させるために、わずか数か所の地域に自生する野生種に依存している。

 英キュー王立植物園(Royal Botanic Gardens, Kew)の研究チームは、絶滅の危険性があるとみなされる124種のコーヒー品種が、地球温暖化が続き生態系が破壊される中でどのように存続する可能性があるかを予測するために、最新のコンピューターモデリング技術と現地調査を利用した。

 その結果、75のコーヒー種が絶滅の危機にさらされていると判断された。そのうち13種は「絶滅寸前」、アラビカ種を含む40種は「絶滅危機」、22種は「危急」の状況にそれぞれ陥っている。

 米科学誌サイエンス・アドバンシズ(Science Advances)に掲載された論文の主執筆者で、キュー植物園でコーヒー研究を統括するアーロン・デービス(Aaron Davis)氏は、AFPの取材に「全体としては、コーヒー種全体の絶滅リスクが約60%と非常に高く、植物に関する通常の絶滅リスクの数字をはるかに上回っているという事実が得られた」と語った。

「それは絶滅の危険性が最も高い植物群に匹敵する。別の見方をすれば、多くの種が見つけにくく、限られた地域にしか生育しておらず、中には個体群の大きさがサッカー場くらいしかない種もあるのだから、驚くには値しないことなのだ」

 世界のコーヒー生産は現在、アラビカ種とロブスタ種のわずか2種のみに依存している。

 その酸味と味わいから珍重されるアラビカ種は、世界で販売されるコーヒーの総量の約60%を占める。野生のアラビカ種が生育するのはエチオピアと南スーダンの2国だけだ。