■マーケティング上の戦略

 しかし、どちらが本物のキューバン・ラムなのだろうか。キューバで造られたラムか、創業者のオリジナルレシピで造られた方か。

 英ロンドンで活動するラムの専門家、イアン・バレル(Ian Burrell)氏はAFPに対し、もちろんレシピは大事だと語った。ラム造り職人は、さまざまなバッチや、場合によっては違う酵母によって「唯一無二のフレーバー」を造るため、「2つの商品は大きく異なる」という。

 しかしバレル氏は、2社のハバナクラブのいずれも、これまでにテイスティングして比較したカストロ時代より前のハバナクラブとは違うと指摘。同氏は、キューバ由来を争うこの闘いは、第三者の視点から見ると「マーケティングの一環だ」と語った。

 バカルディ側は2017年、米政府がキューバが保有する商標の更新を認めたことに対する訴訟を起こし、商標が効力を維持するためには、使用されていなければならないとも主張した。キューバ側の商標は、米国内では実際には60年間使用されていないためだ。

 バカルディのラミレス氏は、裁判の結果が同社に好意的となることに「自信を持っている」という。一方のペルノ・リカール側は、「ハバニスタ」という商標をすでに登録しており、禁輸措置が撤廃された場合は、その名前でハバナクラブを米国内に展開しようとしている。(c)AFP/Heather SCOTT