【12月25日 AFP】(更新)米首都ワシントンの連邦地方裁判所は24日、北朝鮮で拘束された米大学生オットー・ワームビア(Otto Warmbier)氏の死について、同氏は拘束中に拷問を受けた可能性が高いとの判断を示し、北朝鮮に対し5億100万ドル(約550億円)の支払いを命じた。

 ワームビア氏は昨年釈放されたが、すでに昏睡(こんすい)状態にあったほか、両親にも顔の見分けがつかない状態で、帰国から間もなく死亡した。22歳だった。同氏の両親はこの死をめぐり、米国で北朝鮮を提訴していた。

 ベリル・ハウエル(Beryl Howell)判事は「米国人家族のワームビア一家は北朝鮮によって息子を拘束され、世界的な不正および米国との対決のために息子を駒として利用され、この際、その全体主義国家の残忍さを身をもって経験した」と指摘した。

 ハウエル判事によると、北朝鮮側はこの訴訟に対して一切反応を示していない。

 ワームビア氏の両親は、外国主権免責法(Foreign Sovereign Immunities Act)に基づき北朝鮮を提訴した。在米の原告は、外交特権の対象外と見なされる違法行為について、同法に基づき各国政府を提訴できる。

 5億100万ドルの支払いは主として懲罰的損害賠償として命じられたものだが、北朝鮮が自発的に応じる可能性は極めて低い。また、同国は世界でもとりわけ孤立した国家であり、米国内には、差し押さえが可能な資産をほとんど保有していないとみられる。

 一方、ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領は北朝鮮との核交渉を続けている。合意に至った場合に米側から何らかの支援が行われる可能性があり、そこに今回の命令が絡むことも考えられる。(c)AFP