【12月20日 AFP】毎年ハロウィーンの時期になると、必ずと言っていいほど繰り返される論争がある──ブラックフェースと呼ばれる白人の黒塗りメークについての論争だ。この時期、仮装パーティーに参加した黒塗りメークの白人の写真がSNSなどに投稿される。ビヨンセ(Beyonce)さんやダイアナ・ロス(Diana Ross)さんに扮(ふん)したイメージである。(※この記事は、2018年11月1日に配信されました)

 米国の人種差別論争は100年以上の歴史があるが、それが今、再び熱を帯び始めているという。

 米ジャーナリスト、メーガン・ケリー(Megyn Kelly)氏は、黒塗りメーク問題をめぐって解雇された。司会を務めていたNBCのトーク番組「メーガン・ケリー・トゥデー(Megyn Kelly Today)」で、ハロウィーンの仮装では黒塗りメークは大目に見てもいいのではないかという趣旨の発言をしたのだ。この発言には多くの批判が集まり、最終的には番組も打ち切りとなった。

 黒塗りメーク問題の発端は、1830年までさかのぼる。白人がドーランや靴墨を顔に塗り、誇張された厚い唇を描いて黒人を戯画化した「ミンストレル・ショー(Minstrel shows)」が始まりだった。

 ショーでは、黒人は劣っており、無知で、怠け者で、獣のようでさえある、というステレオタイプを描いた。黒人のこのようなイメージは、人種差別主義者の間で定着し、いまだに残っている。

 黒塗りメーク問題を研究するワシントン州立大学(Washington State University)のデービッド・レナード(David Leonard)教授は、AFPの取材に、「ブラックフェースは、米国の黒人を人間ではないものとして表現し、また暴力を普通のことと正当化して、それを認めるという意味で使われていた」と説明した。

 このような黒人のキャラクターは、ミンストレル・ショーで有名な白人の役者トーマス・ライス(Thomas Rice)氏が演じたキャラクター「ジム・クロウ(Jim Crow)」によって確立された。ライス氏はジム・クロウについて、障害のある奴隷にヒントを得たと主張していた。ジム・クロウの名前は、後に米国内の人種隔離法の名称にまでなった。

 レナード氏は、「ブラックフェースは暴力であり、黒人を悪者扱いするものであり、人種差別でもある」と指摘する。