【11月12日 AFP】(更新、写真追加)フランスの首都パリで11日、第1次世界大戦(World War I)終結100周年を記念する式典が行われ、世界各国の首脳が出席した。エマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)仏大統領は演説で、ナショナリズム(国家主義)の台頭が再び平和を脅かそうとしていると警鐘を鳴らした。

 土砂降りの中、凱旋(がいせん)門(Arc de Triomphe)で行われた式典には、ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領、ロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領、カナダのジャスティン・トルドー(Justin Trudeau)首相、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ(Benjamin Netanyahu)首相、トルコのレジェプ・タイップ・エルドアン(Recep Tayyip Erdogan)大統領ら、各国首脳約70人が出席した。

 首脳らは式典に先立ち、シャンゼリゼ(Champs-Elysees)通りから凱旋門に向かって歩いたが、トランプ・プーチン両大統領は加わらなかった。

 パリでは2015年以降、イスラム過激派による襲撃が相次いでいることから、警官約1万人が動員され、警備に当たった。

 第1次大戦の休戦協定の調印からちょうど1世紀後となった同日午前11時(日本時間午後7時)に、フランス各地で教会の鐘が鳴り響いた。

 凱旋門での式典では、チェロの演奏や、第1次大戦中に兵士らが書いた手紙の朗読も行われた。

 マクロン大統領は20分間に及んだ演説の中で、ナショナリズムを厳しく非難し、首脳らに対し過去の教訓から学ぼうと呼び掛けた。

「ナショナリズムは愛国心を裏切るものだ」とマクロン氏。「自分の利益が第一で、他者は二の次だと言うことによって、国を尊いものにし、命を吹き込み、偉大にするもの、中でも最も重要な道徳的価値観というものを、われわれは消し去っている」と訴えた。

 さらに「孤立、暴力、あるいは支配によって平和への希望をくじくことは間違っている。そんなことをすれば、当然のことながら、未来の世代の人たちはわれわれにその責任があると考えるだろう」と警告した。

 ドイツのアンゲラ・メルケル(Angela Merkel)首相と国連(UN)のアントニオ・グテレス(Antonio Guterres)事務総長も式典後、マクロン氏が新たに設立した平和フォーラムの開幕演説で、ナショナリズムの高まりがルールに基づく国際秩序の脅威になっていると警鐘を鳴らした。

 メルケル首相は、「欧州の平和」という事業に人々は疑惑の目を向け始めていると言及。ナショナリストの偏狭な見方が再び広がっている恐れがあると懸念を示した。

 グテレス事務総長は「(現在の状況は)多くの点で20世紀初頭と1930年代と似通っており、そのため人々は予測できない出来事が立て続けに起こりかねないと憂慮している」と指摘した。

■英での戦没者追悼式にはドイツ大統領が出席

 一方、英ロンドンでも、毎年恒例の戦没者追悼式が行われた。チャールズ皇太子(Prince Charles)が、近くのバルコニーから見守るエリザベス女王(Queen Elizabeth II)に代わって、追悼の象徴である赤いヒナゲシの花輪を最初に献呈した。

 テリーザ・メイ(Theresa May)首相も出席したこの式典には、ドイツの指導者として初めて、フランクワルター・シュタインマイヤー(Frank-Walter Steinmeier)大統領も出席した。(c)AFP/Katy Lee / Clare BYRNE