【9月28日 AFP】米国のニッキー・ヘイリー(Nikki Haley)国連(UN)大使は27日、ニューヨークの国連本部前でベネズエラのニコラス・マドゥロ(Nicolas Maduro)大統領の退陣を訴えていたベネズエラ人のデモ隊に対し、拡声器で「ベネズエラのために闘う」と語り、共闘を呼び掛けた。大国の外交官が国連本部の外で行われているデモに加わることは極めて異例。

 これに先立ちドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領は26日、マドゥロ政権について「人道的悲劇」をベネズエラにもたらしていると指摘。「軍がそうすると決断すれば、政権は軍によってすぐにでも倒される」と語った。

 デモ隊に向けヘイリー大使は拡声器を使い、「われわれはベネズエラのために闘う、マドゥロ大統領がいなくなるまで闘い続ける」「あなた方に声を上げてもらわなければならない、米国は声を上げようとしている」と訴えた。

 デモ隊は封鎖された国連本部前の広場で「SOS、ベネズエラ」と書かれた横断幕を掲げたり、「われわれの望みは何だ?自由だ!」とシュプレヒコールを上げたりした。

 国連本部前の広場では国連総会(UN General Assembly)の会期中、さまざまな団体がデモを行っており、ベネズエラ人たちのほか中国国内で非合法の気功組織「法輪功(Falungong)」、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ(Benjamin Netanyahu)首相に抗議するユダヤ教超正統派などの姿も見られた。

 ベネズエラ人デモ隊を率いる責任者の1人、エリック・ロゾ(Erick Rozo)氏(30)は「われわれはニッキー・ヘイリー氏の参加を歓迎する。トランプ大統領をはじめ、ニコラス・マドゥロを非難するあらゆる公人の言葉を歓迎する」「20年ぶりに世界がベネズエラ人を苦しめている危機に目を向け、認識した」と語った。

 故ウゴ・チャベス(Hugo Chavez)前大統領が実権を握って以降20年近くにわたり、ベネズエラはインフレに悩まされ続けており、2018年内にはインフレ率は100万%に達するとみられている。

 このため多くのベネズエラ人に生活必需品が行き渡らず、これまでに市民およそ230万人が国外に脱出。マドゥロ大統領は前任のチャベス氏同様、米国の中南米への干渉を繰り返し非難し、米国による敵視政策を理由に各種政策を正当化している。(c)AFP