【7月15日 AFP】イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ(Benjamin Netanyahu)首相は14日、パレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)に空爆を実施し、同地区を実効支配するイスラム原理主義組織ハマス(Hamas)に対して2014年の交戦以降「最大の攻撃」を加えたと述べた。同首相は、必要があれば空爆を強めると警告した。

 同首相はビデオ声明で「イスラエル国の国防相、(軍の)参謀総長、保安司令部トップとの協議でハマスのテロリズムに対して強力な行動を取ることを決めた」と説明した。

 その上で「(2014年に同国がガザ地区で実施した)『境界防衛作戦(Operation Protective Edge)」』以降、最大の攻撃でハマスをたたいた。われわれは必要に応じ攻撃の強度を高める」と述べた。

 ガザ地区の保健当局によると、ガザ市(Gaza City)西部で空爆されたビルの近くにいた15歳と16歳のパレスチナ人2人が死亡した他、ガザ地区全体で25人が負傷した。ガザ地区の各地では、イスラエルの空爆を受けた数十か所で濃い煙が上がった。イスラエル側は、地下にトンネルがありハマスが訓練施設として使っているビルなど武装勢力の関連施設を標的としたとしている。

 一方、イスラエル国内では、ガザ地区に近い地域に約100発の迫撃弾やロケット弾が撃ち込まれ、防空サイレンが鳴り響いて人々はシェルターに避難した。あるイスラエル空軍高官によると、撃ち込まれた砲弾は主に迫撃弾で、相当数を防空システムで撃墜したという。イスラエル当局によると、ガザ地区に近いイスラエル南部の町スデロット(Sderot)の民家にロケット弾が着弾して、イスラエル人3人が負傷した。ハマスは、空爆を受けて防衛のため砲撃したと説明している。

 ハマスの報道官は、14日夜に事態の拡大を止めるため、再び停戦することをエジプトが提案したと明らかにした。これについてイスラエル軍の報道官はコメントを拒否したが、イスラエル軍は情勢を見て対応を決めると述べた。

■高まる緊張

 今年3月30日からガザ地区とイスラエルの境界のフェンス付近で、現在はイスラエル領になっている土地へのパレスチナ人の帰還を求めるデモと衝突が繰り返され、ハマスとイスラエルの間の緊張が高まっている。イスラエル軍の発砲によって、これまでに141人のパレスチナ人が死亡している。これらの死者の大半はデモの参加者やイスラエル軍と衝突した人たちだが、境界のフェンスを壊そうとした人たちも含まれている。イスラエル側に一連のデモと衝突による死者は出ていない。

 また、イスラエルの消防当局によると、ガザ地区から揚げられた火炎瓶の付いた気球やたこで、これまでに750件の火災が発生。合計で2600ヘクタールが焼け、数十万ドルの被害が出ている。(c)AFP/Sakher Abou El Oun with Delphine Matthieussent in Jerusalem