【6月30日 AFP】シリア南部の複数地域で勢力を維持している反体制派が、激しい爆撃の中止と引き換えに政府軍への明け渡しに同意する意向を示している。国営メディアと英国に拠点を置くNGO「シリア人権監視団(Syrian Observatory for Human Rights)」が29日、明らかにした。

 今月19日以来、ロシアが支援しているシリアのバッシャール・アサド(Bashar al-Assad)政権軍は、反体制派地域の南部ダルアー(Daraa)県一帯に、空爆とたる爆弾で激しい攻撃を続ける一方で降伏を呼び掛けている。

 国営シリア・アラブ通信(SANA)は、ダルアー東部の農村地域3か所の反体制派が過去2日間のうちに、政府軍の支配に移行することに同意したと報道。29日の速報では、反体制地域4か所が武器を引き渡し、調停に合意したと伝えた。

 アサド政権とロシアはこれまでシリア全土に爆撃を仕掛け、対地攻撃で反体制派地域を孤立させ、最終的に降伏させる戦略を取ってきた。U字型に広がるダルアーから隣接するクネイトラ(Quneitra)までの反体制派地域は、すでに政権軍によって複数に分割されている。

 シリア政権軍と共に南部で攻撃を展開するレバノンのイスラム教シーア(Shiite)派原理主義組織ヒズボラ(Hezbollah)は同日、反体制派が「崩壊」し始めていると述べ、「われわれ政権側が南部で大きな勝利をつかもうとしている」と明言した。

 シリア人権監視団のラミ・アブドル・ラフマン(Rami Abdel Rahman)代表は29日、政権軍への支配権譲渡に向けた交渉がダルアー県内の8か所でロシア軍警察の主導の下で行われていると述べた。

 その間も政権側とロシアはダルアー県一帯と、県都ダルアー市内への空爆を続けており、シリア人権監視団によれば、攻撃が始まった1週間前から現在までに100人近い民間人が死亡している。(c)AFP