【6月22日 AFP】イスラエルの検察当局は21日、ベンヤミン・ネタニヤフ(Benjamin Netanyahu)首相の妻、サラ・ネタニヤフ(Sara Netanyahu)夫人(59)を横領と背任の罪で起訴した。夫人は国の資金を不正に使って35万9000シェケル(約1090万円)相当の食事の出前を取ったとされ、長期にわたり捜査が行われていた。

 ネタニヤフ首相は一連の汚職疑惑をめぐる当局の捜査対象となっており、今回の起訴によって同首相とその親族は新たな法的問題に見舞われた形だ。

 同国法務省によると、サラ夫人には、首相公邸に手の空いた料理人がいないと虚偽の申告をして、公金を使って「数百回の食事」を外部業者に注文。起訴状では、サラ夫人と親族、客人らが2010年から2013年にかけて、「数百回の調理済みの食事(毎回複数のコース料理を含む)、35万9000シェケル相当」を国から不正に享受したとされている。

 サラ夫人の弁護士は声明で、起訴内容は「妄想」だと一蹴し、食事を注文したのは夫人自身ではなかったと主張。さらに、食事の多くは公的な客人のもので、公邸職員のものもあったとした。

 起訴状によれば、食事の注文先にはイタリアンレストランや中東グリル料理店、すし店など、エルサレム市内のさまざまな有名店が含まれる。

 ネタニヤフ首相も、便宜供与と引き換えに富豪らから高額の贈答品を受け取ったとされる疑惑や、有力紙イディオト・アハロノト(Yediot Aharonot)との間で自身に好意的な報道をする内容の合意を結ぼうとしたとの疑惑で捜査を受けている。

 このほか、通信大手ベゼック(Bezeq)との間でも、同社が運営するニュースサイト上で首相や親族に好意的な報道をすることと引き換えに、便宜を図った疑いがある。

 さらに、首相は先週、ドイツ製潜水艦3隻の購入をめぐる汚職疑惑の捜査で参考人として事情聴取を受けた。(c)AFP/Stephen Weizman