【6月12日 AFP】仏パリ郊外サンドニの大聖堂に非白人の大規模な強制送還を求める横断幕が掲げられた。これを受け同市の黒人市長バリー・バガヨコ氏(52)は激しい怒りを表明した。

労働者階級が多く暮らすサンドニには、外国にルーツを持つ人々が多く暮らしており、バガヨコ市長とそのスタッフは3月の市長選以来、人種差別の標的となっている。

11日朝、歴代のフランス国王・王妃が埋葬されていることで知られるサンドニ大聖堂の正面に、外国にルーツを持つ人々の大規模な強制送還を求める極右の概念「リマイグレーション(逆移民)」の文字が書かれた横断幕が垂れ下がっているのが見つかった。

「オブジェクティブ・リマイグレーション」と呼ばれる極右団体の広報はSNSに投稿した動画で、「西暦732年に私たちの土地に対するイスラム教を奉じるアラブ人の侵略に終止符を打った人物、シャルル・マルテル(カール・マルテル)の墓のすぐ近くで、自分たちの伝統を再確認している」と主張。

シャルル・マルテルはメロヴィング朝フランク王国の宮宰。トゥール・ポワティエ間の戦いでイベリア半島から侵攻してきたイスラム教を奉じるアラブ人の王朝「ウマイヤ朝」による西欧征服を阻止したことで知られる。シャルル・マルテルはサンドニ大聖堂に埋葬されている。

西アフリカ・マリ出身の両親のもとサンドニで生まれたバガヨコ市長は、横断幕の設置を「憎悪」に基づく行為と呼び、動画内の発言を「極めて深刻だ」と非難した。

急進左派のバガヨコ市長はAFPの電話インタビューに対し、自身が市長を務めるサンドニが標的とされたのは「人種差別主義者(レイシスト)たちが憎むものを体現しているからだ」「サンドニは歴代のフランス国王・王妃の街という歴史を持ちながら、長年にわたる移民の融合の結果として成り立っている街だ」と説明。

その上で、市長室として法的措置を取る意向を示した。

バガヨコ市長によると、かつて植民地大国だったフランスで、人種差別が激化しているという。

バガヨコ市長は3月の市長選以来、人種差別的な偽情報やコメントの標的になっており、市役所には人種差別的な嫌がらせの電話が殺到している。

バガヨコ市長はまた、こうした人種差別的なコメントの一部を放映したとして、フランス版FOXニュースと呼ばれるケーブルテレビ局Cニュースを提訴している。(c)AFP