■われわれ自身の起源

「将来の望遠鏡を用いれば、同様の銀河でこのような初期に発生した星形成を検出することが可能になるかもしれない」と、論文の執筆者らは結論づけている。

 今回の観測における大きな成果は、MACS1149-JD1で酸素が検出されたことだ。この銀河はしし座の方向で観測されるが、肉眼では見ることができない。

 UCLは「酸素は恒星でのみ作られ、恒星が死を迎えた時に銀河内のガス雲中に放出される」と説明し、「MACS1149-JD1内に酸素が存在することは、それよりもずっと以前に前世代の星々がすでに形成され、死を迎えていたことを示している」ことを指摘した。

 研究チームによると、MACS1149-JD1は正確な距離測定がなされた銀河としては、知られている中で最も遠方にあるという。

 論文の共同執筆者で、UCLのリチャード・エリス(Richard Ellis)氏は「MACS1149-JD1によって、現在の設備で実際に検出可能な銀河の年代の限界を超えて歴史を調査することができた」と話す。

「星々誕生の直接的な観測にますます近づいているという楽観的な見方が新たに出始めている。われわれはみな星の中で作られた物質でできているのだから、これはまさしくわれわれ自身の起源を明らかにすることなのだ」 (c)AFP/Mariëtte Le Roux