【5月15日 AFP】2018年サッカーW杯ロシア大会(2018 World Cup)の開幕までおよそあと1か月となった。AFPはW杯過去20大会のうち、合計13大会を制している強豪5か国の現状をまとめた。

■ドイツ

 前回王者ドイツでは、守護神マヌエル・ノイアー(Manuel Neuer)の状態が戻らず、大会へ向けた準備に不安が生じている。32歳のノイアーは昨年9月に足を骨折して以来、実戦から遠ざかっており、本人も「実戦感覚がないまま、あれだけの大会に出るのは想像できない」と認めている。

 普通に考えれば、スペイン1部リーグのFCバルセロナ(FC Barcelona)で素晴らしいシーズンを送ったマルクアンドレ・テル・シュテーゲン(Marc-Andre ter Stegen)がロシアで正守護神を務めると思われる。

 ドイツのヨアヒム・レーブ(Joachim Loew)監督は、2014年ブラジル大会(2014 World Cup)を制した中核メンバーにヨシュア・キミッヒ(Joshua Kimmich)やレオン・ゴレツカ(Leon Goretzka)、ティモ・ヴェルナー(Timo Werner)らを組み込むとみられ、マルコ・ロイス(Marco Reus)の選出は今回もコンディション次第となる。

 欧州予選は全勝で突破したドイツだが、その後はイングランド、フランス、スペイン、ブラジルとの親善試合で未勝利が続いた。それでもドイツはFIFAランキング1位のチームで、本大会での強さはほぼ疑いようがない。

■ブラジル

 前回大会のブラジルは、国中の希望を一心に背負ったエースのネイマール(Neymar da Silva Santos Junior)が腰を痛めて欠場した準決勝でドイツに1-7の屈辱的な大敗を喫した。それから4年、ブラジル国民はまたしても、2月に足を骨折してリハビリ中のエースの動向に冷や汗を流している。

 フランス・リーグ1のパリ・サンジェルマン(Paris Saint-GermainPSG)でネイマールとチームメートのダニエウ・アウベス(Daniel Alves)が膝のけがでW杯欠場が決まったのも大きな痛手だが、それでもチッチ(Adenor Leonardo Bacchi aka Tite)監督が率いる現チームは、4年前よりもはるかに状態は良いようにみえる。

 南米予選を難なく首位で通過したブラジルの選手層は厚くなっている。グループリーグの組み合わせにも恵まれており、ブラジルの通算6回目のW杯制覇は十分に考えられる。

■スペイン

 ビセンテ・デル・ボスケ(Vicente del Bosque)元監督が指揮を執ったブラジル大会、そして欧州選手権2016(UEFA Euro 2016)と主要国際大会では2大会連続でふがいない結果に終わったスペインだが、後任のフレン・ロペテギ(Julen Lopetegui)監督の下でチームは再び上昇気流に乗っている。

 ロペテギ監督就任後、チームはいまだに負けなしで、予選は勝ち点をわずかに2ポイント落としただけでグループ首位通過を果たした。今年3月の親善試合ではアルゼンチンを6-1で粉砕している。

 セルヒオ・ラモス(Sergio Ramos)、ジェラール・ピケ(Gerard Pique)、そして守護神ダビド・デ・ヘア(David de Gea)で構成する守備のトライアングルは現役最高峰で、ダビド・シルバ(David Silva)やイスコ(Isco Alarcon)ら中盤の選手の流れるようなプレーも止めるのは難しい。

 そして、アンドレス・イニエスタ(Andres Iniesta)も健在だ。ロペテギ監督は先日、国際サッカー連盟(FIFA)のウェブサイトで「彼がこれだけ好調を維持しているのはうれしいし、W杯でも質の高いプレーを続けてくれると思うとワクワクする」と話している。

■フランス

 2016年に行われた母国開催の欧州選手権で、フランスは決勝で延長戦の末にポルトガルに敗れ、優勝にあと一歩届かなかった。ディディエ・デシャン(Didier Deschamps)監督の手元には十分な駒がそろっており、指揮官にかかるタイトル獲得への重圧は高まっている。

 チームは予選を突破したものの、ホームで無得点引き分けに終わったルクセンブルク戦など物足りない内容の試合もあり、デシャン監督の手腕を疑問視する解説者もいる。

 そうした声を黙らせるためにも、デシャン監督は選手の力を最大限に生かせるシステムを見つけなくてはならない。前線ではアントワーヌ・グリーズマン(Antoine Griezmann)が中心だが、10代のキリアン・エムバペ(Kylian Mbappe)も注目選手の一人。もちろんポール・ポグバ(Paul Pogba)も、真の意味でスターダムに上がるにはW杯での活躍が欠かせない。

■アルゼンチン

 前回大会で準優勝に終わったアルゼンチンのリオネル・メッシ(Lionel Messi)にとって、ロシア大会はW杯のトロフィーを手に入れる最後にして最大のチャンスになる。

 しかし、アルゼンチンは予選で大苦戦を強いられ、最後のエクアドル戦でメッシが起死回生のハットトリックを決めてなんとかチームをロシアに導くような状態だった。チームではメッシ以外の選手の存在感が乏しくなっており、ホルヘ・サンパオリ(Jorge Sampaoli)監督は先日、メッシが「チームをしょって立つ選手だ」と公言した。

 それでも、セルヒオ・アグエロ(Sergio Aguero)やパウロ・ディバラ(Paulo Dybala)をはじめ、アルゼンチンには紛れもない実力者が数多くいる。そうした選手の力をサンパオリ監督が引き出せなければ、チームがトーナメントを勝ち上がっていくのは難しい。(c)AFP/Andy SCOTT